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2011 年11 月16 日

飲み屋のエゴ

 在職中は、出張と言うこともあったが、実に様々なお店でお酒を飲んだ。
 現在の「パブ」と言う所はあまりよく知らないが、バリバリの一線戦士として活動していた(こう言うと格好良く聞こえるが、実は仕事の憂さを酒で晴らしていただけだったのだろう)頃によく言った「パブ」では、結構客の言い分を聞いてくれたものだった。
 今からの季節、鍋料理が恋しい時期になるが、一人前の鍋を食べると、それだけでお腹が一杯(勿論お酒も飲んで)になり、いくつかの鍋の味を楽しみたいと思っても食べ切れないので我慢してしまうのだが、「あれとあれを半分ずつ」と言う注文をしても、気軽に出してくれた記憶がある。
 最近の鍋では、それが当然のようになっているものもあると聞くし、何年か前には、孫たちと一緒に行った時には、むしろ「そうしてください」とばかりに区切った鍋が出されて、1種類の鍋を注文するほうがおかしいのだ、と言うような設えだった。
 そうなると「みんなで同じ鍋をつつく」と言うような楽しみが失われてしまうので、これもちょっと押し付けがましいので、妙な気分になってしまう。
 このテーマを思いついたのは、TVのグルメ番組(私自身は決して好んで見る番組ではないのだが)で、「店主の出すものを素直に食べろ。最高の味付けと舌触りの変化を最高に楽しんでもらうように専門家が考えて出しているのだから、素人はそれに従って食べればいいのだ。お酒もそれに合うものしか出さないから」と言うような乱暴な店の紹介に出会ったからである。
 確かに、九州で、東北で(特定の市の名前は敢えて出さない)そんな店に出くわしたことがあって、吃驚した事もあったが、決して後味が良いものではなく、二度と行く気がしなかった。
 その反面「今日はこんなものがお勧めですよ」と黒板に書いてあるのではなく、さり気なく言ってくれるお店は、感じが良い。
 日本酒が好きな私だって、時にはビールを飲みたいときもあるし、焼酎にしたい時だってあるのだから、飲み屋のエゴで「出されたものを食え」と言う態度にはとても付いていけない。

投稿者:つねちゃん
at 06 :50| グルメ | コメント(0 )

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