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2014 年03 月20 日

「淀五郎」

 この噺は、比較的最近(と言っても退職少し前だから、もう10年以上も前である)好きになった噺である。
 この中で一番好きな部分は、指導する仲蔵が、じっと(と言うよりも、台詞はないが、いろいろな仕種でその為りを)見ているところである。
 突然割り当てられた大役に有頂天になって精一杯演じるが、師匠格の相手が全く相手にしない。
 自棄になってかつて世話になった仲蔵の処へ「(冥土への)暇乞い」に行って諭される場面である。
 在職中、本社へ転勤になったのだが、人事の都合上、前任者がまだ転出していない。
 従って、無任所課長である。
 「何をすればいいのですか」と聞きに行くと「何か探して」と言われる。
 勿論部下などいない(前任者が握っている)。
 淀五郎と同じように「自分で考えろ」と言われている自分を重ね合わせてみる気持である。
 残念ながら直接仲蔵のような人には巡り会えなかった。
 これからは自慢話めくが、気を取り直して「自分の好きなことをやればいいのだ」と今までとは全く違う分野だっけれど、その分物怖じせずに色々なところへ聴きに回った。
 所属こそオーバーヘッド部門だったが、特に「スパイ」と言うような目で見られることもなく(その後はそんな目で見られることが多かった)みんな親切に教えてくださったのが、みんなが仲蔵だったのだろう。
 この噺はそんな背景があるので、途中どうしても涙が込み上げてくる話である。

投稿者:つねちゃん
at 09 :13| 健康 | コメント(0 )

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