みさと村だより

　村の春の恒例行事、家庭訪問が始まる。
　３４軒を３日で回るのだが、他の人は、元々が少ない人数を回るので、出発時間が多少遅くてもよいのだが、こちらは大変である。
　地図を読むのは得意な方だが、全く新しい土地なので、地理がよくわからない。どこまでが村の範囲なのか、どんな町内があるのか。
　それに加えて、距離感が全くつかめない。各家庭からの要望に添うように順番を決めたが、南北に長い村を、ピンポンのように行き来することになってしまった。
　家庭訪問の目的は、付近の様子も含めた家庭環境を見てくることだが、長くこの仕事をしていると、いろいろなことが見えてくることがある。

　新しい腕時計を買ってしまってから、いろいろと気になって、メーカーのホームページを開いてみた。
　自分の買った時計は、そのメーカーではミドルクラスという価格帯とのこと、同じ機種でも多少値段の差があるのだが、高めの値段対のものを値引きしてもらったので、買値的には一番安いものと同じなのだが、これって安く買ったなと言う思いをさせるための戦略だなあ。ただし、現金払いでないと値引き額はちょっと少なくなったので、たまたまぎりぎりその金額を持っていてよかった。いや、もし持っていなかったら頭を冷やそうと思って買わずに来ただろう。それもよかったかもしれないが。
　今時の時計は、ほとんど狂わないのが当たり前だが、そのメーカーの高価な価格帯のものは、月に５秒ぐらいしか狂わないらしい。で、自分が買ったやつは、それよりは劣るので月に１５秒ぐらい。ただし、電波時計の機能があるので、電波を受信すれば、常に正確な時間を表示する事になっている。
　また、ごくふつうの時計に見えるのだが、文字盤の下に太陽電池を内蔵しているので、電池交換が全く必要ない。というか、交換すべき電池がそもそもない。暗闇にほうっといても２年間は動き続けるという事で、止まっても、光に当てればまた動き始めるらしい。
　不精者にはうってつけだが、何にもしなくていいというのは何となくおもしろくない。

　新しい腕時計を買った。
　
　実は、しばらく腕時計を持ったことがなかった。理由はいくつかある。
　１つは、仕事柄、普段は至る所に時計があって、自分の時計を持つ必要がない。
　２つに、携帯電話を持つと、時計の役を果たしてくれる。しかも、電波を受信して自動的に正確な時間を表示する機能がついているので、時間が狂う心配がない。
　３つに、昔、スキーで転んで手首を痛めた時、腕時計のせいで手首が固定されたことが原因だと考えられ、恐怖感があった。
　４つに、いざフォーマルな場に出る時には、新婚旅行で旅先で買ったおしゃれな時計があるのでいいと思っていた。

　４月から新しい職場に変わり、ちょっとすきっとした格好をして行きたいと思った時、腕時計もすることにしたいと思った。ところが、いつものフォーマル用の時計をしようと思ったら、電池切れで止まっていたのである。
　ここでホームセンターで電池交換をしていればよかったのかもしれないが、何となく、今時の時計ってどんなだろうと興味が湧いてきて、近所の時計屋さん（なのだが、県内有数の貴金属店の本店でもある）に行ったのである。
　電池交換をお願いして、待っている間、ふとショーウインドウの中をのぞいてみた。あらあらびっくり。時計って結構高価なものである。
　普段必要感がないから、便利さだけにしか関心がないから、2000円ほどのデジタルウォッチしかほしいと思わなかったので、せいぜい１万円から２万円ぐらいと考えていたが、その数倍の価格のものばかりであった。
　見ていると店員さんがやってきて、中から時計を取りだして紹介し始める。
　触れてみると、今までフォーマルに考えていた、今日、電池交換に持ってきた時計が、ちゃちなおもちゃに見えてきた。
　そうして、勧められた時計を思い切って買ってしまったのである。
　買ってしまった後で、電池交換が終わった時計が戻ってきた。改めて見比べて、やっぱりちゃちに思えた。ちょっと散財だったが、仕方あるまい。

　入村試験があった。
　いろいろとつっこまれるのかと思ったら、意外とあっけなかった。
　もっとびっくりしたのは、その後、これまたひどくあっけなく解散になった。
　村長と、先の住民と、ちょっと飲みに行ったが、どうも、みなさんの仲がよくわからない。

　出会いはドキドキ
　でも、いい出会いができた。

　みさと村の子供たちは、とってもかわいかった。

　あしたは、新しい住民の登場です。

　ついでに、わたしの入村試験もある。
　そう、この村は、大人には入村試験があるのだ。
　
　入れてもらえるかなあ。

　子供たちとの出会いは結構いい感じ。
　３４人はちと多いが、可愛い子供たちである。

　みさと村が開村しました。
　ほのぼのとした田園地帯の村。
　１９人の大人と、たくさんの子供たちがいる村。
　
　なかなか個性豊かな大人たち、そして、まだ正体不明の子供たちは、、、、、

　出会いが楽しみだ。