みさと村だより

　朝、用事があって隣の市へ向かっていた。
　途中、突然自動車が蛇行する感じがした。タイヤがパンクしたときの感じに似ていた。しかし、パンクしたときのようなごろごろという音はしなかった。
　この前のタイヤがはずれかかったのを思い出して、今度は、金属疲労で車軸がおかしくなったかといやな感じがした。路面が冬タイヤの影響でうねっていたのかもしれない。
　少し、スピードを落として、ハンドルを左右に切ってみたりしたが、どうも異常はない感じがする。舗装の新しいきれいなところに出たら、なめらかに走り始めた。どうも異常はないようだが、それならばさっきの感じは何だったんだろうと不審に思いながら、目的地の知人宅に到着した。
　玄関を空けると、大音量でラジオが鳴っている。どうしたの？この家は、と思いながら待つと、家の人が出てきた。開口一番「無事でしたか？」と聞かれて、いったい何のことかと思っていたら、実は、さっき大きな地震があったということを初めて知った。友人宅でも、壁が一部パラパラとはがれるなどしたらしい。
　地震の大きさを後で次第に聞くにつれて、そんなことを想像もせずに車を走らせていたことにぞっとする思いだった。
　運転中に地震に遭うとあんな感じなんだと初めて知った。だから、突然高架橋が壊れたりしたら、そのままつっこんでいくんだと思った。