<< 2012/01/16 | メイン | 2012/01/21 >>
2012 年1 月20 日

君が代最高裁判決

1月16日に言い渡された最高裁君が代判決は、職務命令違反を理由として懲戒処分を行うこと一般は肯定しつつも、減給以上の懲戒処分については事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要であるとして減給処分と停職処分の一部については取り消した。

ところで、19日の日経新聞社説をみると、この判決を受けて「大阪府・大阪市では、職務命令に3回違反したら免職とする教育基本条例案が2月議会で審議される。こんどの判決に照らして、是非をよく考えるべきであろう。」という意見を述べている。

しかし、最高裁判決は、懲戒処分の軽重について任命権者の裁量権の逸脱濫用に当たらないかどうかの判断基準を示したものであるが、大阪府・大阪市が制定しようとする条例は裁量権行使の判断基準(処分基準)を条例として定めようとするものである。最高裁の事案では、「過去の懲戒処分の対象とされた非違行為と同様の非違行為を再び行った場合には量定を加重するという処分量定の方針」はあったが、それ以外の処分基準は定められていなかった事案であるし、そのような事案であっても、最高裁は都教委の定めた処分量定の方針自体は否定せず、それを踏まえた判断をしている。

したがって、最高裁の示した裁量判断基準と異なる処分基準を大阪府・大阪市が制定したからといってそれが直ちに違法あるいは訴訟で否定されるわけではないし、むしろ裁判所は大阪条例を前提としてその範囲を合理的に画することになるのであろう。

社説は、司法権と自治権の関係をあまりに静的に、あまりに司法権優位に理解しすぎているきらいがあるように思われる。

投稿者:ゆかわat 23 :51 | ビジネス | コメント(0 )

大飯原発 安全性は妥当? 

 19日の日経朝刊に、原子力安全・保安院は18日、関西電力の提出した大飯原発ストレステストの結果について妥当とする審査書素案をまとめたという記事が載っていた。
 しかし、ストレステストというのは、所詮、コンピューターによる解析試験。そもそも、コンピューターによる解析試験ができるののは、あらかじめ設計段階で想定された数値計算を前提としている。しかし、実際に、地震が来たとき、真っ先に壊れるのは、コンピューターによる安全検査の対象とはなっていない数多くはりめぐらされた配管だ。元GE技術者で原発技術者である菊池洋一氏の「原発をつくった私が原発に反対する理由」(角川書店)をみれば、いかに格納容器内の配管が脆弱であるかが明らかだ。津波によって電源全喪失がなかったとしても、福島第一原発は地震による大量の配管の亀裂・破損が生じ水が漏れ続けていたことは間違いないとする指摘はきわめて重要である。原発そのものの危険性を想定外の津波のせいにしてごまかしている今の東電・原子力政策の問題点を明らかにしている。しかし、配管への影響はストレステストでは全く考慮されることはない。
 福井県知事が「机上の調査にすぎず、再稼働の判断材料にするには不十分だ」というのはまさに卓見である。

 ところで、ストレステストとやらを、事故を起こす前の福島第一原発に対して行ったら、どういう結果になるだろう。おそらくストレステストは合格するのでは?

投稿者:ゆかわat 23 :10 | ビジネス | コメント(0 )

<< 2012/01/16 | メイン | 2012/01/21 >>
このページのトップへ