2007 年1 月13 日
コンプライアンス〜不二家事件
不二家が消費期限切れの牛乳でシュークリームを製造出荷していたことが発覚した。食品メーカーのコンプライアンス不遵守、リスク管理のなさは致命的だ。雪印乳業やダスキン等の教訓がいまだに生かされていない。しかも、最近の新聞記事を見ると、相変わらず、大阪府の裏金問題が発覚している。大阪府立大学羽曳野キャンパス総合事務センターと守口保険所は、昨年12月以来の3回の調査に対して裏金はないと虚偽の報告を繰り返していたという。裏金問題の調査の過程で、3部署で公金横領があったことも発覚している。
昨年の暮れ、私も、農業共済でのコンプライアンス研修を担当させてもらったが、その準備の過程でも感じたが、企業利益のため、個人の利益のため、保身のため、便宜のために、人は違法・不正な行為をするのは不可避だ。「魔がさす」のは、人間の本性だ。公務員が保身のために虚偽の報告をするのもそうだ。それを防止するのがコンプライアンス(法令等遵守)だ。
そのためには、職員個々の自覚を促す倫理研修ももちろん重要だが、それ以上に、組織の中で、不正を犯そうと思っても犯せないコンプライアンス体制(職員個々人に任せない、二重三重のチェック体制)を構築し、それを運用することが是非とも必要だ。往々にしてコンプライアンスは、分厚いマニュアルを作って、掛け声だけで終わっている。
年末も高校の同窓生の忘年会で、とある上場企業の子会社で、やれコンプライアンスや、やれSOXだの言っているものの、社長が一方的に熱弁をふるうだけで社内の実質的な討議ができていない会社があることを聞いた。これではコンプライアンスと言ったところで、形だけということになり、結局は、不二家の二の舞になるだけだ。
具体的なコンプライアンス遵守のための体制・システムを構築せずにコンプライアンスを守れと言うだけでは(分厚い、実際に見られることもない「電話帳」を作るだけでも)、コンプライアンス失格と言うべきだろう。
投稿者:ゆかわat 22 :17 | ビジネス | コメント(1 )
行政不服審査法改正要綱つくり
今日は、土曜日だったが、日弁連行政訴訟センターの行政不服審査法改正要綱案作成のために東京まで出張した。総務省の研究会で行政不服審査法改正の検討をしているところであるが、そこに提出する日弁連案の作成である。日弁連での大まかな議論の方向性としては、現行の異議申立て・審査請求の2本立てを原則として一本化する。
すなわち、処分を行った処分庁に対する不服申立てとし、その判断の客観性・公正性を担保するために第三者機関に諮問をし、処分庁はその第三者機関の答申を尊重して裁決をする。現行の情報公開の不服申立て方式だ。
不服申立ての対象は、処分に限らず、申請に対する不作為も、行政権限の不行使(たとえば、違法建築物に対する是正命令を発動しない)も、行政指導も広く含める(但し、行政計画や行政立法は、その対象となる計画や立法が様々であるので、別途法律で定める。)。
不服申立てを行える者は、行政訴訟の原告適格よりも広くする。
不服申立てには、処分庁に対する再考の申立ても用意し、その申立てがあったときは、20日以内に不服申立てに応じて処分をし直すか、そうしない場合はその理由を明らかにする。
不服審査手続に利害関係人の参加を認める。
不服申立てを受けたときは、明らかに不適法な申立てを除き、速やかに第三者機関に諮問する。第三者機関は諮問を受けたときから2ヶ月以内に答申をしなければならない。第三者機関は法曹有資格者又は行政不服審判官を長とする合議制機関とし、処分庁に対し資料の提出を求めることができ、処分庁はこれを拒否することができない。
申立人又は参加人は、第三者機関に対し、審理を求めることができる。この審理は公開によることを求めることも出来る。
審理の申立てがあったときは、第三者機関は処分担当者の審理への出頭を命じる。審理の席で、申立人又は参加人は処分担当者に質問を発することが出来る。
申立人又は参加人は第三者機関が収集した資料を閲覧・謄写することができる。第三者機関は必要な証拠調べを行うことが出来る。
処分庁は、第三者機関の答申を受けてから2週間以内に、その答申を尊重して採決を行わなければならない。行政権限不行使に対する不服申立てを認容するときは、行政権限行使手続に入ることを宣言する。不服申立てがあったときはその処分は執行停止を原則とする。
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