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2007 年4 月25 日

渉外事務所訪問

以前日弁連の海外司法制度調査の関係でヨーロッパに短期の視察に行ったことがあるだけの、純粋の国内弁護士(domestic lawyer)である私に、何故かアメリカ企業との販売契約についてチェックしてくれという依頼があった。顧問先の紹介であるので断れない。しかし、アメリカ法には全く不案内であるため、大学時代の同窓の渉外弁護士に相談することにし、久しぶりに東京に出てきた(京都人である私は「東京行き」とは言っても「上京」とは言わない。)。

 久しぶりのラッシュの電車に乗るのは、短時間でも堪えられなかった。やっとの思いで六本木一丁目の地下鉄駅で下りると、改札の外はガラス越しの外界だった。地盤面よりは低いはずなのに、外が見え、木が生えているのは不思議だ。改札から出てすぐの、広々としたエレベーターホールからほぼ最上階へ行く。まるでアメリカのようだと思った(アメリカには行ったことはないが。)。そして、ガラス張りのビルの外に、雲にかすんだ高層ビル街が見えるのは、まるでマンハッタンにいるようだった(もちろん、マンハッタンにも行ったことはないが。)。大学時代の同窓の同期の弁護士が、こんなすごい環境で、数々のセキュリティと秘書に囲まれて、言葉の端々に英語の単語をちらばめながら、相談の応答をしているのを見ると、ふと自分を振り返ってみて、その差に驚くばかりだ。

 久しぶりの東京出張は、海外旅行をしたような新鮮な感動を与えてくれた。REI190425



投稿者:ゆかわat 22 :05 | 日記 | コメント(0 )

2007 年4 月17 日

最高裁判例ノート〜住民監査請求の期間制限〜最高裁平18.6.1判決

 事案は,次のとおりである。鎌倉市が,平成6年に退職職員の再就職先の給与額を60歳まで退職時の給与月額100%保証をするという内部基準を作成したが,それを公にしていなかったところ,平成12年度市議会でそれが問題にされた。平成12年6月議会で,議員が「市が外郭団体に対して人件費補助はできないでしょう。今までもそんなことはしていないと思いますよ。」と発言したのに対して,実は平成11年度にもすでに部長職経験者が市公園協会常務理事に就職しており,その給与保証をするために市は公園・緑地維持管理運営業務委託費用名目の支出をしているのに,市長は,そのことを全く秘し,ようやく平成12年9月議会で議員の質問でそれが明らかにされ,それが9月9日付で報道された。そこで,10月27日に平成11年度の市公園協会に対する業務委託費用についての監査請求がなされた。しかし,監査請求時点で業務委託費用の支出時から既に1年が経過していたため,監査請求期間を徒過して不適法な監査請求ではないかということが問題になった事案である。

 1審判決は,9月9日付新聞報道があってから速やかに監査請求がなされているから,「正当な理由」があるとしたが,控訴審になってから,市は新たに,平成12年4月28日付神奈川新聞を提出した。そこには退職職員の給与保証に関する報道がなされていた。高裁及び最高裁は,平成12年4月から監査請求をするまでに半年が過ぎているから相当な期間内に監査請求がなされたとは言えないとして不適法却下した。

 しかし,この最高裁の判断はおかしい。実際,この判決をした第一小法廷も3対1に割れている。反対意見は泉裁判長だ。反対意見は,市監査委員も,平成12年4月28日付新聞記事には何ら触れず,平成12年9月議会の新聞記事で本件が明らかになったとして,監査請求を適法と判断していることに触れている。監査委員自身が適法として監査請求を受理しているのに,後になって市がそれを不適法であるというのも,どう考えてもおかしい。しかも,市も控訴審になってから4月28日付新聞記事を見つけたくらいだから,当時は誰も気にとめていなかったはずだ。
 どうしてこんな事案で住民監査請求を制限する必要があるのだろうか。
 
 最高裁がようやく行政に対する司法統制を強化し始めたと思っていたが,また少し行政寄りに振り子の針が揺れている。akira1904



投稿者:ゆかわat 23 :14 | ビジネス | コメント(0 )

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