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2010 年5 月31 日

日米共同声明は不信任に値するか

 日米合意に辺野古を明記し、社民党が連立を離脱した。
 これは地域主権の挫折、防衛省・外務省の官僚の勝利、日米同盟の優先、安定志向を意味するのか。

 国家主権に関わる問題である日米同盟や米軍基地問題を、脱官僚・地域主権の視点で切り込むことはこれからの時代の新たな展開をもたらすものと期待していたが、時期が悪すぎた。韓国哨戒艇攻撃事件(これが謀略なのかどうかはともかく)によって緊張する東アジア情勢を踏まえれば、今の時期に日米同盟を破棄ないし見直すことは無理と言わざるを得ず、そこにつながる普天間基地移設解決はあり得なかった。さんざん防衛・外務官僚からたたき込まれたのだろう。しかし、これが地域主権や脱官僚国家の旗印そのものの撤回につながるものでないことを願う。

 しかし、終始一貫して、日本のマスコミはリングで戦う鳩山首相をリングの外から実況中継してみせるだけだった。この新しい政治への取組を、自ら一緒になって、国民とともに切り開いていくという、本来のマスメディアに課された使命を放棄するものだった。

 地元は鳩山首相の振り回されただけだなどと新聞は論評するが、全くナンセンスだ。沖縄から基地を移転させようと努力したが、結局、国内はどこもそれを受け入れず(大阪府知事は例外だったようだが、所詮大阪には来まいということを踏まえての政治的パフォーマンスのようにも感じないわけでもない)、結局は緊迫する東アジア情勢に突き動かされて元に戻った。しかし、自民党政権ではできない修正もして見せたではないか。地域主権・沖縄県民の意向を実現すべく最大限努力したが、現在の政治情勢やこれまでの歴史的積み重ねの壁に立ちはだかれ、現在の力関係では、一気に米軍基地のグアム移転はできなかった。それを「首相は何をやりたかったのかさっぱり分からず、結局振り回されただけだ」とか「いとも容易に変節した。人間として信用できない」などと表面的な報道しかしない日本のマスコミの低次元さにあきれるばかりだ。鳩山政権をけなして、結局は自民党政権・官僚国家・既得権益の世界に戻りたいだけではないのか。何のために報道し、何のために政権批判をするのか、その目的を日本のマスメディアは完全に忘れている。

 そもそも5月28日日米共同声明に至ったことを受け入れがたいと思っている国民は、はたしてどれだけいるのか。沖縄と鹿児島を除く大半の国民は安堵の思いで受け入れているのではないのか。物事の本質を正しく伝える努力をこそマスコミはすべきだ。


投稿者:ゆかわat 21 :51 | ビジネス | コメント(0 )

2010 年5 月16 日

現在係属中の行政争訟(2)

2009年3月14日「現在係属中の行政争訟 」続版
自分の手持ち行政事件にどういうものがあるのかを拾い出してみた。現在の手持ち行政事件は次の19件。土地区画整理関係や廃掃法関係や道路法関係が多いのに気づく。

京都地裁
1 平成22年(行ウ)○号 不動産取得税賦課処分取消請求事件
キーワード:地方税法、信義則
近日中に関連訴訟として国賠請求提訴予定

大阪地裁
2 平成21年(行ウ)○号 道路占用許可処分差止めの訴え
キーワード:道路法、同一道路下へのガス管の二重配管、差止めの訴え
3 平成21年(行ウ)○号 道路占用許可処分取消請求事件
キーワード:道路法、同一道路下へのガス管の二重配管

大阪高裁
4 平成22年(行コ)○号 仮換地指定処分取消・義務付けの訴え
キーワード:土地区画整理法、仮換地のための換地設計の縦覧の必要性、都市計画・事業計画の違法
近日中に換地処分取消訴訟に訴えを変更するか、新訴を提起する予定
5 平成22年(ワ)○号 浄水場休止差止等請求控訴事件
キーワード:水道法、公法上の契約、水源を特定する給水契約、差止請求

福井地裁
6 平成18年(行ウ)○号 一般廃棄物処理業許可取消等請求事件
7 平成19年(行ウ)○号 一般廃棄物収集運搬業許可取消処分義務付けの訴え
8  同     ○号 一般廃棄物収集運搬処分業許可取消処分義務付けの訴え
以上のキーワード:廃棄物の処理及び清掃に関する法律、一般廃棄物処理業の許可の要件、許可を要する一般廃棄物処理施設(ごみ処理施設)の要件、競業者・周辺住民の原告適格、義務付けの訴え
9  同     ○号 不当利得返還請求等住民訴訟
キーワード:廃掃法に違反して一般廃棄物処理施設を設置する者との一般廃棄物処理業務委託契約の効力
10 平成20年(行ウ)○号 損害賠履行償請求住民訴訟
キーワード:カラ公共工事
11  同     ○号 分限免職処分取消請求事件
キーワード:国家公務員法、分限免職処分、信義則、郵政公社在職中に分限処分を受けた者が行政訴訟を提起する場合の被告となるべきものは誰か
12 平成21年(行ウ)○号 損害賠償履行請求住民訴訟
キーワード:地方財政法、起債の要件
13 町道認定無効確認等請求事件
キーワード:道路法、土地改良法
近日中提訴予定

金沢地裁
14 換地指定処分取消請求事件(近日中提訴)
キーワード:土地区画整理法、照応の原則違反、事業計画の都市計画への適合性

さいたま地裁
15 平成19年(行ウ)○号 仮換地指定処分取消請求事件
キーワード:土地区画整理法、商業街区設定のための申出換地の適法性、
16 平成19年(行ウ)○号 建築物等除却差止等請求事件
キーワード:土地区画整理法、除却直接施行、損害賠償
17 平成21年(行ウ)○号 土地区画整理法76条許可取消請求事件
キーワード:土地区画整理法76条許可

津地裁
18 平成19年(行ウ)○号 事業計画変更認可処分取消請求事件
キーワード:土地区画整理法、組合施行における事業計画変更認可処分、中抜き施行
19 平成19年(行ウ)○号 移転料請求事件
キーワード:土地区画整理法、組合施行における事業計画変更決定の処分性、確認訴訟

 


投稿者:ゆかわat 08 :22 | ビジネス | コメント(0 )

2010 年5 月9 日

普天間移設徳之島町長拒否〜地域主権が国家主権に勝利した日

 5月7日、鳩山首相と会談した徳之島3町長は米軍普天間基地機能の一部移転を拒絶した。
 米軍基地移設問題は、日本の防衛・外交に関する事項であり、国が本来的に処理すべき事務であり、国家主権に関わる事項である。ところが、そのような国家主権に関わる問題に係る首相からの要請を、地方自治体の中で最も基礎的な自治体の首長が拒絶した。地域主権が国家主権に勝利した日だ。
 これが「国破れて山河あり」に至らぬように願うばかりだ。
 そのためには、日本国憲法に基づいて、非武装中立・自主独立の道を歩み出すべきだろう。

投稿者:ゆかわat 21 :00 | ビジネス | コメント(0 )

法社会学会(1)

 5月8日(土)9日(日)と京都・同志社大学で開催された法社会学会に出席してきた。
 8日は、「地域司法と裁判員裁判」のミニシンポジウムに参加した。
 安原元裁判官・弁護士の報告もなかなか衝撃的だったが、青森で裁判員裁判に裁判員として参加した渋谷さんの報告が、やはり特筆すべき内容であった。
 事件のことについて語られるとき、2度涙ぐまれて言葉につまられた。

 一度は、青森の満開の桜を見に行かれたとき、はたして被害者はこの満開の桜を見て感激されることがあるだろうかと語られたとき。被害者の痛みを改めて思い出されたからだろう。

 二度目は、被告人に対する判決言渡しをしたときのこと。検察官の求刑通り15年の判決言渡しをするときに、裁判員から裁判長に自分たちの思い、すなわち、「あきらめた15年ではない。更生することに期待をかけた15年だ」という裁判員の思いを説示に加えてくれるように求めたときのことを語られたときだ。
 私も目頭が熱くなる思いを禁じられなかった。

 裁判員裁判は、国民に、被害者の痛みと被告人の罪の重みをトレースし、さらに被告人の人生を決めることの痛みを求めることだ。裁判員裁判は、TVや新聞の中の出来事にしかすぎなかった犯罪を、現実の問題として受け止め、かつ、犯罪に対する処方箋を作る経験を国民に与えるものだ。これから10年のスパンで見たとき、日本社会は確かに変わっていくことだろう。

投稿者:ゆかわat 14 :22 | ビジネス | コメント(0 )

2010 年5 月7 日

地域主権というパンドラの箱

鳩山政権は地域主権というパンドラの箱を開いた。これまで日本では押さえ込まれてきた地域の生の声を開いた。それも、米軍基地の存在という国政の根幹・国家主権の根幹に関わる問題で。

沖縄・徳之島は米軍基地移転絶対反対の立場だ。これまでもそうだった。しかし、これまではその声を上げることができなかった。その結果、自民党政権の下で無理矢理米軍基地キャンプシュワブを押しつけられることになった。
国政、日米・国際協力関係、地政学、その他を考えるとその選択となるのだろう。

ところが、鳩山政権はパンドラの箱を開けた。
もう誰も米軍基地を受け入れることはしないだろう。

今朝の「朝ズバ」で川内議員は民意を大切にしろ、民意を受けてアメリカに米軍基地国内移転はできないと言えという。また、徳之島の住民の町長への励ましの言葉「徳之島の命はあなたにかかっているんだ」はとても重い。

それでは、鳩山政権は地元の民意を受けて米軍基地を拒絶するのか。この問題は、「鳩山政権は」ではなく、「日本国民は」と置き換えて自らの問題として考えるべきだ。

投稿者:ゆかわat 08 :09 | ビジネス | コメント(0 )

2010 年5 月1 日

保証人が担保不動産処分に反対しているので債務弁済ができない?

Rei220429


最近の法律相談から。

Q 当社は中小企業者に当たるところ、銀行から借入して工場用地を購入しましたが、この度、その用地を一部売却して借入総額を減らすことにしました。銀行もこれに同意しているのですが、信用保証協会の保証付きの借入であったため、保証協会が保証人の担保解除同意を求めてきました。ところが、保証人の一人が担保不動産の売却=担保解除に同意しないため、保証協会が抵当権解除に応じません。そのため、担保不動産の一部売却ができず、このままでは資金繰りに支障が生じてしまいます。どうしようもないのでしょうか。

A 工場用地の一部売却による負債圧縮は、会社の財務体質を改善し、資金繰りを円滑化するものであり、会社にとっても、銀行にとってもプラスです。それにもかかわらず、信用保証協会が保証人の担保解除同意を求めているのは、後に信用保証協会が保証人から担保保存義務違反を問われることをおそれてのことです。つまり、たとえば、本来なら担保不動産の価値は610万円で、610万円保証額が減るべきところ、会社が550万円で処分したから、差額60万円は保証人は責任を負わないと言われるのを避けるためです。
 しかし、そもそも会社が担保不動産を一部売却して負債総額を圧縮するというのは、金融円滑化法に基づく貸付条件の変更の申込に当たります。したがって、金融円滑化法に基づき銀行はこの貸付条件の変更に応じて債務負担軽減措置をとるべき義務があります。
 そして、信用保証協会は銀行と緊密な連携を図って銀行の債務負担軽減措置に協力する義務があります(金融円滑化法には、「銀行は信用保証協会と緊密な連携を図ること」とありますが、その趣旨は信用保証協会も金融円滑化に協力しろということにあります)。

 ところが、今回の信用保証協会の対応は、中小企業者の債務負担軽減措置に協力するどころか、中小企業者が破綻して負債の返済を怠って保証人に対して保証債務履行請求する場面を想定して保証協会の負担を減らすことだけを考えた、極めて後ろ向きの対応です。したがって、信用保証協会の対応は金融円滑化法に明確に反するものです。
 さらに、銀行は信用保証協会が謝絶したことのみを理由として債務負担軽減措置を拒絶することは許されません。このことは、金融検査マニュアル金融円滑化編チェックリストにも明記されています。
 したがって、銀行及び信用保証協会に対して、金融円滑化法に違反していることを告げてその姿勢を改めることを求め、もし銀行や信用保証協会がそれでもこれに応じないときは、金融庁(窓口は金融サービス利用者相談室)に対して改善措置の申入れをしてみてください。


投稿者:ゆかわat 21 :21 | ビジネス | コメント(0 )

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