偽装耐震容疑者一斉逮捕
26日に偽装耐震事件に関して姉歯容疑者を建築士法違反(名義貸し)、木村容疑者を建設業法違反(許可更新の際に利益水増し報告)、藤田容疑者を電磁的公正証書原本不実記載(増資を装って不正に登記)でそれぞれ逮捕した。
しかし、これって、本命は詐欺の立件にあるのだから、違法な別件逮捕ではないのか。確実な線で身柄をとって、20日間の勾留期間で本件(詐欺)の証拠固めをしてその自白を迫る。昔ながらの捜査手法だ。彼らがしたことは許されることではない。しかし、悪いことをした人間に対してはどんな捜査方法を使っても許されるという風潮は怖いことだ。
26日の日経夕刊に「耐震強度偽装問題の本質は建築確認制度の破綻。構造計算のコンピューター化などで審査不能になっていたことだ。そういう事態を招き、放置してきた国の責任こそ問われるべきではないか。」という魚住昭氏のコメントが紹介されていたが、まさにその通りではないか。
投稿者:ゆかわat 00 :09
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堀江被告保釈
本日午後9時40分にライブドアの堀江被告が保釈された。これは二重の意味ですごいことだ。
一つは、容疑の全部を否認しているのに保釈が認められたということ。普通、否認事件では、証拠隠滅のおそれがあるという理由で保釈は認められない。私の担当している事件なんて、公判で罪状を認めているのに、まだ証拠隠滅のおそれがあるという理由で保釈が却下された。堀江被告の事件では、争点整理手続きが5月10日に予定されているというが、それまでに弁護側が争点整理の準備をするには被告人との密な打ち合わせが不可欠だ。そのためには保釈は不可欠だ。東京高裁も、それを理由に保釈を認めた(正確に言うと、検察官の保釈に対する準抗告を却下した)のだろう。これから裁判員制度が始まると、こういうことが常態化するのだろう。
二つ目には、9時40分でも釈放が執行されたということ。これは当然と言えば当然だが、9時40分に保釈執行ということは、検察官による保釈の執行指揮もきっと午後8時頃を回っていたのではないだろうか。検察官がそこまで被告人のために仕事をしているというのがすごい。ちなみに、私の担当している事件なんていつも5時過ぎたら検察官は保釈に対する求意見に対する回答もしてこない。どうせ保釈不相当というだけなのだから、そんな意見待たなくても良いじゃないかといつも思う。
投稿者:ゆかわat 23 :56
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廃棄物処理ノート(1)
仕事柄、廃棄物、ごみ関係の事件を取り扱うことが多い。廃棄物処理関連の覚書を時折記してみたい。
平成18年2月28日最高裁判決から。
一般廃棄物の収集運搬業者が汚水槽の一般廃棄物たるし尿を含む汚泥と雑排水槽の産業廃棄物たる汚泥の混合物を一般廃棄物と偽ってし尿処理施設に搬入したところ、その全量につき廃棄物の不法投棄の罪に問われた。それに対して、弁護人は、一般廃棄物たるし尿の部分は不法投棄は成立しないはずだとして争った。
それに対して、最高裁は、一般廃棄物以外の廃棄物の搬入が許されていないし尿処理施設へ一般廃棄物たるし尿を含む汚泥を搬入するように装い、一般廃棄物たる汚泥と産業廃棄物たる汚泥を混合させた廃棄物を搬入したから、その全量につき不法投棄罪が成立するとした。
これは、どちらも汚泥としての性状に違いはなく、単にいわば出生の出自が違うだけであるが、一般廃棄物たる汚泥と混合物たる汚泥とは別物という理解であろうか。この最高裁の理屈で行けば、90%がし尿であって、わずか10%の産業廃棄物たる汚泥が混合しただけでも、全量につき不法投棄ということになる。はたしてこの結論が妥当なのだろうか。
しかし、これを一般廃棄物部分については不法投棄にならないというと、数量の区別が判然としないときは構成要件事実が特定できないとして全量につき無罪ともなりかねない。しかも、混ぜて捨ててもばれてもともとという風潮を生みかねず、それでは混合不法投棄を誘発するからそれを防止しなければならないという政策も分かる。しかし、理屈としてはしっくりこない。
そういえば、最近の判例時報(1918号)で、BSE対策で対象外牛肉を対象牛肉と偽って不正に補助金を受給したり、業界団体から買い上げを受けた事案につき、補助金の不正受給という補助金適正化法違反は対象外牛肉についてのみ認め、不正買い上げという詐欺は全体につき認めた大阪地裁判決が2件紹介されていた(大阪地裁平17.5.11,同平17.5.27)。
投稿者:ゆかわat 22 :52
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東奔西走
今朝は、敦賀で民事事件の弁論を終えた後、午後は岡山で調停事件。5時までかかって、第3回期日、申立をして4ヶ月でで何とか調停が成立した。訴訟にしてたら、もっと時間がかかったろう。担当判事さんは、岡山の本庁なのに、填補の判事さんで週1回しか来られないという。高裁支部のあるところなのに、人手不足のようだ。
その合間を縫って、電話があれやこれやとかかってくる。
都銀から大口の融資を受けるときに金利スワップ取引を薦められて始めたが、融資は繰り上げ返済したのに、金利スワップ取引がそのまま残っている。月に何十万の負担になるから解消したい。ところが、契約では中途解約は原則として認めない、銀行が承認したときに限り中途解約できるが、その場合も銀行の定める違約金を支払えという。じゃあ、違約金の定めはどうなっているのかと言えば、契約書には「銀行所定の方法で計算した違約金を支払う」としか書かれておらず、その「所定の方法」も記載されておらず、いくらになるのかさっぱり分からない。金融商品販売法で求められる重要事項説明書には「違約金を支払ってもらう可能性があります」としか書かれていない。こんないい加減な契約に拘束されなければならないのか。
かと思えば、
FCに加盟して保育所経営を始めたが、何の具体的な指導もない。FCの商標にしても、地元では全く知られていないから、何のメリットもない。それでロイヤルティだけとられている。解約できるか。
さらには、
この前電話で話した件ですが、手形の取立をしてもらえますか。
う〜ん。頭がパニック。吉備団子に、じゃこ天に、穴子寿司でも食べないと頭が回らない。
投稿者:ゆかわat 21 :47
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姉歯元建築士月内にも逮捕
今日の日経の夕刊に「姉歯元建築士月内にも逮捕 建築基準法違反の疑い」という記事が載っていた。建築基準法違反(構造耐力不足)の疑いという。
建築基準法20条は、「建築物は(略)地震(略)の震動及び衝撃に対して安全な構造のもの(略)でなければならない」と定めており、その規定に違反した当該建築物の設計者は50万円以下の罰金に処せられることとなっている(101条6号)。
しかし、19時のNHKのニュースを見ていたら、建築士法違反(名義貸し)の疑いで月内に逮捕と報道されていた。
要するに、最初に逮捕ありきで、その容疑は何でも良いということか。
それに今さら逮捕の必要性がどこにあるのだろう。逮捕もその必要性がないと許されない。逮捕の必要性は、逃亡の防止と罪証隠滅の防止だ。しかし、今さら逃亡するはずもないし、罪証隠滅といえっても、証拠隠しをするのならとっくにしているし、必要な証拠はこれまでの捜索等で十分に押収しているのではないか。要は、社会的制裁、見せしめか。
投稿者:ゆかわat 21 :22
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NHK受信料不払問題
今朝の日経に「NHKの受信料不払いに罰則検討」との記事があった。
総務省は受信契約の締結義務を受信料の支払義務に置き換え、不払い世帯に罰則を科す案を検討するという。
受信料の支払義務を「契約に基づく」ものから「法律に基づく」ものにした上で、支払義務の不履行を「契約違反」から「法律上の義務違反」に置き換えることで罰則を科すということだ。
一般論として言えば、契約違反に対しては民事訴訟を提起してその支払を求めるしかないが、法律上の義務の履行を確保するためであれば罰則を科すことも可能だ。
しかし、法律で義務を定めれば何でもその履行を確保するために罰則を科することが許されるのか。
ここで言う「罰則」が行政上の秩序罰である過料を意味するのか、それとも刑事罰としての罰金等を意味するのかが不明だが、刑事罰であれば、果たして刑事罰を科するだけの保護法益があるのかがまず問われなければならない。受信料の本質が公共財である公共電波の使用料だとしても、その本質は使用料、受益者負担金にしかすぎない。使用料、受益者負担金の不払いに対しては、それを強制徴収するのが義務履行確保手段であって、刑事罰を科することは通常選択されない。税金の滞納ですらそれが脱税等でない限り刑事罰を科さないのであるから、受信料ごときで刑事罰を科するのは重きに過ぎる。ましてや、NHKが提供するのは民間放送事業者と異ならない放送であるから、実質的な事業活動を保護するために罰則を科するというのは、そもそも保護法益を欠くのではないか。NHKは放送事業であって公的な事業という意味では自治体の公営企業(市バス等)とその実体は変わらない。公営企業の料金は契約に基づく料金にしかすぎないから、その取り立ては民事訴訟でいくしかない。それ以上の保護を与えるだけの実質があるのか。
それでは、過料であればどうか。過料は法律で定めればそれで違法となることはないのが普通であるが、行政上の義務の履行確保の手段としては、使用料等金銭債務の徴収であれば、国税徴収法の例による強制徴収が通常であり、その上にさらに過料を課すということは通常行われない。加算税のようなものと考えれば一応の理屈になるのかもしれないが、放送事業の経費が税金と同じだけの価値を有するとは思えない。
投稿者:ゆかわat 23 :11
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久しぶりの刑事事件
最近刑事事件は滅多に受けない。申し訳ないが、調停官をしているということで当番弁護士も国選事件の受任もお断りしている。しかし、顧問先から懇請されて、どうしても受けざるを得ない刑事事件もある。
思い起こせば、弁護士に成り立ての頃は、よく刑事事件を扱った。当番弁護士も頑張ってやっていたし、国選でも無罪を争って1年以上弁護をしていたこともあった。でも、オウム事件以来、厳罰化の風潮が富みに強まってきた。弁護活動をしてもむなしくなることが多くなった。
久しぶりに担当した刑事事件でも、私は途中から関与したのだが、私が関与する前でも、自白事件なのに、第1回公判終了後の保釈も認めない、追起訴完了後の保釈も認めない。私がいわば身元保証人的に弁護人を引き受けて、追起訴公判で罪状を認めたのに、それでも保釈を認めない。検察官の保釈に対する求意見を見たら、「絶対的不相当」と書いてある。被告人はC型肝炎だし、事件の後始末もあるし、服役する前に身辺整理や病気療養もさせてやりたいし、保釈ぐらい認めてやってもいいじゃないかと思える事件だった。少なくともオウム事件以前は保釈が認められていたような事件だ。どうして保釈しないんだと思って、高裁に抗告までしたが、高裁でも保釈は却下された。保釈がだめなら、せめて病気療養のための交流執行停止をして、病院で治療させてやってくれということで勾留執行停止申立までしたが、それもだめだという。何故なんだ?と思っていたら、最近になって別件で再逮捕して身柄を移監された。それで謎が解けた。それならそれと最初から言ってくれたら、抗告やら保釈申請やらいろいろしなかったのに。と思うと同時に、それは完全に事件単位の原則違反、余罪考慮だろうと思う。刑事訴訟の原則なんか、実務では全く無視されている。そう思うと、また刑事事件はむなしくなってきた。
投稿者:ゆかわat 22 :31
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高速の年度末工事
相変わらず県外への移動が多い。高速道路を走っていると、緊急橋梁補修工事のため交通規制により渋滞とある。緊急橋梁補修工事と言って、実際に高速の上に架かっている橋梁に工事ネットを張って工事をしているのを見ると、橋が落ちてきたら大変だ、よく気づいて工事をしてくれた、と感謝する。そのために少々の渋滞があってもやむを得ないと思う。が、ちょっと待て。本当なのか?そんなに緊急ならどうして年度末に工事をするんだ?緊急橋梁補修と言えば、誰でも、それは危険だから工事をしろ、ということになってお金が出るからではないのか?ついつい年度末の予算消化のための不必要な工事ではないのかという疑念が頭をもたげる。道路公団や公団ファミリー企業は解体されたと聞くが、実体もそうなのか?そんなことを思いながら車を運転しているのは私だけだろうか。
投稿者:ゆかわat 22 :17
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