旅館に対する直接施行(2)
区画整理事件の続報。
今日までに明け渡しの合意書を締結するのであれば、11月20日まで直接施行を延期するという話をしていたが、ご本人が11月20日までに補償協議の成立する確実な見込がないのであれば明け渡しの合意書締結は見送りたいと施行者に伝えたところ、施行者はそれなら明日直接施行でバリケードを作る、電気も水道も電話も止めると言うので、もう疲れ果てたので合意書を締結することにしたと言う。
でも、電気も電話も施行者が供給契約当事者ではないし、水道にしても区画整理事業のために給水を止めるというのは他事考慮・水道法違反だ。本当に施行者がこんなことを言ったのだとすると、詐欺・強迫も甚だしい。そのような直接施行に関する合意は無効だ。
投稿者:ゆかわat 21 :22
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旅館に対する直接施行
山梨県の方から区画整理の件で是非相談したいということで電話があった。それで、週末、急遽山梨まで行った。初めて中央道を走った。中央アルプスや南アルプスや八ケ岳がきれいに見えた。380km、途中休憩を入れて6時間半のドライブだった。
事業計画は、旅館の敷地の真ん中を区画道路が通る計画となっており、仮換地は区画道路の南側に寄せられ、減歩率は35%以上。表道路から少し離れたところに隠れ宿のコンセプトでつくられた旅館なのに、本人が望みもしない道路が整備されて道路に接道するようになったから土地の価格が上昇するので減歩するというのは、区画整理の理屈としては正しいが、本件では通らないはずだ。もっと事業計画の段階から対象地権者と十分に協議すべきであった。十分な協議もないまま、今年度中に事業が完了しないと補助金が出ないから直接施行するというのは、幾ら何でもひどい話だ。
投稿者:ゆかわat 14 :13
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お盆休み
福井地裁に弁論2件があり福井まで出張した。1件は通常民事事件だが、もう1件は分限免職処分取消訴訟。本人が長期の療養のため職務の遂行に支障が生じるようになったかどうかが一つの争点だが、仮にそれが認められたとしても、それが職場の労働環境の劣悪さや上司のパワハラに原因があるときにまで分限免職処分をするのはいかにもおかしいのではないか。
弁論に合わせて、勝山まで足を伸ばして、山間の「あまごの宿」で打ち合わせをすることになった。その名の通り、食事はすべてあまご。久しぶりに食べるあまごのフルコースはやはり美味。
その間、山梨の方から区画整理の件で電話の問い合わせがあった。私のHPを見てとにかく電話をしたと言う。旅館業を営んでおられる方から、25日に直接施行の通知が来たが、どうすればよいかというのだ。私が行ってあげられる距離であればお手伝いもできるが、時間はないし、距離がある。事案の詳細をお聞きしたわけではないが、考えられる手段としては、直接施行の差止めの訴訟と仮の差止めの申立てか。昨年は、区画整理事業が始まって耕作をやめた農地の葡萄棚とポンプ小屋の直接施行について仮の差止めを申し立てた経験があるが、この時は仮の差止めを認める緊急性がないとして却下された。しかし、お電話での照会を受けた件は、現在営業中の旅館ということであれば、認められるのではないか。否、認められなければ、仮の差止めという仮の救済措置を行訴法16年改正で新設した意味がないだろう。
投稿者:ゆかわat 01 :20
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酒井法子CD販売禁止?
酒井法子のCDが販売禁止になっているという。レコード会社が小売店舗に販売禁止を指示しているという。CDを買いに来られたお客さんが来たがお断りしたという店舗のTV映像が流れていた。
しかし、これはおかしいのではないか。所属レコード会社と酒井法子との契約であれば、そのような制約が入っているのは理解できるが、レコード会社と小売店舗、ましてや小売店舗と消費者との間の問題とは区別されるべきだ。
事件で逮捕されたということと、音楽作品とは何の関係もない。その事件が著作権侵害だと言うのであればともかく、音楽作品とは何の関係もない、しかも事件以前に製作されたものまで販売を禁止する根拠は何もない。もし事件の社会的影響を考えるというのであれば、それは購入する個人が判断することだろう。
また、CD小売店舗はレコード会社から販売禁止を指示されて、それに従うべき義務があるのか。そのような契約条項があるのか。仮にそのような契約条項があったとしても、優越的地位の濫用にあたり無効ではないのか。
投稿者:ゆかわat 08 :01
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漁港施設を漁港管理者に無断で貸し付けたら詐欺に当たるか
少し古いが8月1日日経夕刊に、大阪府が所有する駐車場を無断で貸し付けて利用者から現金をだまし取っていたとして詐欺罪で逮捕された漁協元幹部が起訴猶予処分となったとの記事が載っていた。
事案の詳細が分からないので何とも言えないが、漁港を例に取ると、漁港施設には護岸や堤防も含まれ、都道府県が漁港管理者となる漁港がある。漁港の一部に魚市場があり、漁協が漁港漁場整備法37条の2に基づいて都道府県から貸付を受けてこれを運営している。ところで、魚市場に用のある者や釣り人は、漁港施設の空いているところに自家用車を駐車している。しかし、漁協関係者からすると、勝手に車を漁港施設に駐車されると迷惑だ。そこで、漁港施設の空いているところに駐車場の線引きをしてそこに自家用車を停めさせ、駐車料金をとることもあるだろう。しかし、漁協が都道府県から貸付を受けるのは特定漁港施設に限られるのであって、それ以外の漁港施設は貸付の対象には含まれないから、そのような貸付対象外の漁港施設を漁協が一般漁港利用者に駐車場として利用させ、駐車料金をとるのはおかしいのではないか。これが本件事案だったのではないだろうか。
漁協やその幹部は漁港施設の管理者ではないから、これを第三者に貸し付けて料金をとるのは「許されない」。
問題は、その「許されない」の中身だ。
府と漁港施設利用者との関係で見ると、漁港施設を管理権限のない者から借り受けたとしても、漁港管理者である府に対して、これを正当な漁港施設の利用だと主張することはできないから、府から立ち退きを求められれば応じざるを得ない。
府と漁協又は漁協幹部との関係で見ると、駐車場料金は府に対しては不当利得になるから、府から返還請求を受けたら返還せざるを得ない。
問題は、それがさらに刑法犯としての詐欺に該当するかだ。
漁協幹部が、これを府の施設であって、権限のない自分が貸し駐車場とすることができないことを認識して第三者に賃貸していたのであれば、詐欺罪が成立するようにも思わないでもない。しかし、それらの認識を欠いているときは、およそ不法領得の意思がないのであるから詐欺罪は成立しない。
しかし、仮にその認識があったとしても、果たして詐欺罪を構成するのか。賃貸借の要件としては、賃貸物件が自己所有物であることは要件ではない。したがって、第三者と漁協元幹部との間の賃貸借としては有効に成立している。第三者としても、駐車場として利用したのであるから、元幹部に支払うか府に支払うかはともかくとして駐車料金を支払う義務はある。民事の問題ではないのか。
投稿者:ゆかわat 00 :24
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ひぐらし
昨夜は特に暑かった。寝苦しくって朝5時前に目が覚めて眠れなくなった。ぼーと夜明けを迎えると、朝5時、小鳥のさえずりが様々に聞こえ始めた。まるで山の中にいるようにいろんな小鳥の鳴き声が聞こえる。それに混じって、ひぐらしの「かなかなかな」という鳴き声が聞こえる。えっ?と思って、耳をそばだてると、確かに弱い鳴き声だが、「かなかなかな」と鳴くのが聞こえる。へえ?妻も、その前日の明け方、もしかしてひぐらしの鳴き声を聞いたかもと言っていたが、本当にいたんだ。こんな町中の、こんな暑い京都市内に。
そうしたら、今日、避暑がてら、現地検証もかねて小浜に行ったら、夜、南川のアヤハディオの近くの薬のアオキで、ひぐらしが群がって鳴いていた。薄緑の細身に透き通った羽。はじめて実物のひぐらしを見た。いつも少し薄暗い山道を車で通ったときに聞くだけだったが、思っていたとおりのひぐらしの姿に感動した。
投稿者:ゆかわat 23 :51
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ヘラクレスオオカブト脱走
息子が学校友達からヘラクレスオオカブトのメスをもらった。名前通りに大きい。我が家の日本カブトの3倍はありそうだ。
初日は大人しく土の中から出てこなかった。
2日目は蓋の内側に張った虫除けシートを破って虫除けシートと蓋の間で動いていた。
3日目は、ふと気になって朝虫かごを見たら、蓋が開いている。あらら、脱走した。以前、アトラスオオカブトの幼虫が羽化したときは、同じように虫かごから脱走して、マンション廊下を渡り歩いてエレベーターの前で誰かに踏まれて死んでいた。もしかして今回も、と思ってマンションの廊下を探した。廊下には見る限り見つからないので、非常階段を見たら、踊り場でひっくり返って足をばたばたさせていた。
5日目の夜、虫かごをパトロールしたら、また蓋を開けて、その横にあるエアコン室外機を登っていた。大きいからパワーがあるので簡単に脱走できるようだ。でも、大きすぎて飛べないようだ。羽をばたばたさせるが、そのまま落ちているから、まあ、脱走しても遠くまでは逃げられないようだ。
投稿者:ゆかわat 23 :22
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第9回行政法研究フォーラム〜第二次行政訴訟制度改革の必要性
第9回行政法研究フォーラムに出席するために東京・専修大学まで行って来た。
平成16年行政事件訴訟法改正から5年を経て、第2次行政訴訟制度改革の必要性を検討するのがテーマである。
議論は、新たな提案である、行政計画争訟としての都市計画決定に対する争訟についての大橋報告に集中した。都市計画に対する審査請求を認めその裁決に対して訴訟を行う方式と都市計画の違法確認訴訟方式の二つの提案がなされた。いずれも本年3月の都市計画争訟のあり方検討委員会・WG報告書にまとめられている。
平成16年改正当時は最高裁も小田急事件や在外邦人選挙権確認事件で画期的な判決を矢継ぎ早に出した。しかし、現在は、下級審レベルでは、法改正のメッセージも、このような最高裁のメッセージも忘れ去られているのではないか。
国民の権利利益の実効的救済を図るというのがそのメッセージであるのに、「原告適格があるのかどうかを先に検討しましょう、本案審理はその後にしましょう。そうでないと争点が不必要に拡大するだけですから。」と平気で公言する裁判所がある。それも、被告行政側が本案について反論立証しようとしているのを遮って。行訴法9条2項は、橋本報告にあったとおり、処分要件説として理解するべきであり、結局それは違法判断を訴訟要件レベルに取り込むものだから、原告適格の審査として本案審理をしろという趣旨だ。それを全く理解していない。
執行停止は「回復困難な損害」ではなく「重大な損害」があれば認められるように要件が緩和されたのに、執行停止が最も認められるべき区画整理の仮換地指定処分の執行停止申立事件でも、仮換地による損害は財産的損害で事後的に金銭賠償が可能だから重大な損害はないとして却下する(斉藤報告は大阪地裁の例を引いたが、東京高裁でもそうだ。)。
最高裁平成20年大法廷判決は、実効的権利救済を図るために事業計画の処分性を認めたはずなのに(それは、仮換地指定処分を争っても権利救済が十分に図れないからだというのが理由である。)、そのメッセージが伝わっていない。
それどころか、国民の権利救済の範囲を拡大するための事業計画の処分性肯定判決であったのに、下級審レベルでは、現に係属中の仮換地指定処分取消訴訟で、「事業計画の処分性が肯定された以上、仮換地指定処分取消訴訟で事業計画の違法性を争点とすることはできないのではないか」ということを、被告施行者側も問題にしていないのに、裁判所が真っ先に問うてくる。それも全国一斉に。
鳴り物入りで始まった当事者訴訟(公法上の確認訴訟)なのに、裁判所は、当該行政指導が原告の権利利益をどう侵害しているのか、といって確認の利益を厳格に要求してくる。原告の権利利益を侵害しているなら、当該行政指導には処分性が認められ、取消訴訟で争えるではないか。処分性が否定されたときのための、処分性拡大論に代わる確認訴訟であったのに、そんなことはおかまいなしだ。
16年改正に続く第二次行政訴訟改革の前に、まずは16年改正を現場に周知徹底することから始めるべきだろう。それができないのなら、行政裁判所を創設することだ。
投稿者:ゆかわat 22 :34
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