検察審査会議決の疑問〜小沢起訴相当
27日、東京第5検察審査会は、民主党小沢幹事長につき政治資金規正法違反で起訴相当の議決をした。
議決の理由は、小沢氏供述は不自然不合理で信用できない、土地代金支払い直後に銀行融資を受けたのは偽装工作だ、絶大な指揮命令権限を有するから共謀が認定できる、政治とカネにまつわる政治不信が高まっている中市民目線からは許されない、というものだ。
この検察審査会の議決には疑問が二つある。
第一は、これは東京地検特捜部が小沢捜査を無理押しした理屈そのものではないか。
検察議決の出発点は、2004年10月に代金を支払って土地を取得したということにある。だから、05年1月に取得したと政治資金規正報告書に記載するのは虚偽記入だということになる。
しかし、ここのところがよくわからない。10月に代金3億40000万円を支払っていれば、その原資4億円を定期預金することもできない。だから、真実は、04年10月に売買契約をしたが、決済日は05年1月とされた。小沢氏は契約日に4億円を所持していたが、当日決済する必要がないので、定期貯金にした。そして、05年1月に代金決済をし、その日に所有権移転登記もした。これが事実ではないのか。もしそうであれば、検察審査会の議決の根拠そのものが疑われる。そればかりか、このような「事実誤認」はまさに東京地検特捜部が意図的に行った「事実のでっち上げ」の構図に他ならない。
東京地検特捜部は、小沢落としができなかったが、検察審査会を利用して、小沢落としのリベンジを図ろうとしているのではないか。検察審査会の議決により、小沢再捜査のお墨付きが得られたのだ。
第二は、検察審査会が2度目の起訴相当議決をすれば、強制起訴となる。しかし、これは東京地検特捜部の狙いそのものだ。東京地検特捜部としては、有罪に持ち込めればそれに越したことはないが、起訴できればそれで目的は達することができる。しかも、無罪になったところで、それは公判を担当する検察官役の弁護士の「無能」によるものだ。検察の腹は全く痛まない。
こうやって考えると、検察審査会の強制起訴権限は見直した方がよいところもあるのではないか。起訴するかどうかに民意を反映するのは、よいことだ。しかし、「こいつはけしからん」という民意だけで、人を刑事被告人の地位に置くことができる。無罪と宣告された場合にその人の受ける不利益を考えると、少なくとも、その場合の補償措置には十全を期す必要があるだろう。
投稿者:ゆかわat 08 :59
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普天間問題にみる日本の民主主義
日経新聞26日の紙面を見ると、普天間基地移設を求める沖縄県民大会の様子が報じられている。それとあわせて、普天間問題未決着なら鳩山首相は退陣すべきだという声が世論調査で57%に達しているという記事も報じられている。
指導力がない、安定感がない、混乱しているというが、では、官僚と政治が一体となって一度決めたことは決して変更しない自民党時代に逆戻りしたいのだろうか。一度決めたことは変更しないから、案が固まるまでは地元には一切情報を与えず、案が決まってしまえば地元はそれを受け入れるだけというのが自民党時代の意思決定の仕方だ。私が関わった行政関係事件のすべてはそのパターンだ。福井空港、ミートセンター、魚あら処理施設、そして開浄水場休止。いずれも地元の意見は聴かずに政治決定し、あとはそれをごり押すだけ。そんなものは民主主義でも何でもない。民主的な方法は、案を決定する前に地元の意見を聴き、調整しながら決めていく。
これまでの自民党時代に封じ込められてきた地元の声が世の中に出てきただけなのが今の民主党時代であり、これが民主主義なのだ。指導力がないのも、安定感がないのも、混乱しているのも、それは民主主義が胎動してきた証拠だ。専制君主ではないし、一党独裁でもないから、首相が決めれば皆が従うという意味での「指導力」は必要ない。行政がすべて根回しし、異論を抑えてしまう意味での「安定性」は民主主義とは無縁だ。
指導力がない、安定感がないといって、他人事みたいに民主党政権を見るのではなく、自分たちの国を自分たちで作るという視点で世の中のことを見直すべきだ。そうすれば、解決策が見えてくる。
沖縄県民がこれまで被ってきた痛みを感じるならば、米軍基地は人里離れた地域以外につくることはできない。さりとて、海や山を壊すなといえば、国内どこにも米軍基地はつくれない。それでは、日本は日米地位協定を破棄するしかない。法的な問題もあれば、アメリカとの関係もある。それでも、自主独立の道を歩み出すのか。もしその覚悟がないというのであれば、誰かが犠牲になって米軍基地を引き受けるしかない。
自民党時代は、誰かをスケープゴートにして犠牲を押しつけておいて、それ以外の国民はスケープゴートを可哀想だわねといっていればすんだことが、今は、国民すべてに切実な自分自身の問題として跳ね返ってきている。
人任せ、お上任せの民主主義を卒業すべき時だ。
投稿者:ゆかわat 19 :11
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高速料金値上げ迷走?
高速料金の値上げをめぐって政府・民主党のちぐはぐ・迷走が続いているという。新聞や報道番組は、国交相と民主党幹事長のさやあて、首相がその間で玉虫色の発言をしていることばっかりとりあげている。
しかし、自民党時代は、国交省が値上げすると決めたら、もう見直しはありえなかった。しかし、今は、民意を反映して見直しをするということがあり得るということだ。しかも、首相の真意は国会で議論して決めましょうということで、「現時点では見直しはない」というのだから、国会の議論を重視するという意味で、とても民主的なことだ。これまで国会で議論しても何も変わらなかったことを思い出せば、国会でこの国のあり方・政策が決まるというのだから、とてもいいことではないか。
省・行政の議論だけで決まるのではなく、民意を受けた政党の議論がそこに入り込み、さらに国会で審議を尽くし、最後に首相が決断する。まさに民主主義そのものであって、何ら非難するに値しない。
それを「迷走」という視点でしか政治をみれないマスコミの貧弱さ、民主主義慣れしていないマスコミの限界をみるべきだ。
投稿者:ゆかわat 20 :10
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市民オンブズマン福井総会
17日は、市民オンブズマン福井総会に出席してきた。去年は所用で出席できなかったので、2年ぶりの出席だ。
あたたかでコートもいらず、さくら通りの桜もほとんど葉桜となってしまった。
出席者は20名弱と少なかったが、外部の講演もなく、純粋に昨年度の報告・総括と今年度の活動方針を検討する「総会」のみでこれだけの出席者を確保するのは、設立10年経った市民団体としてはなかなかの成績だろう。しかも、新しい参加者も、オブザーバー参加もいるのだから、まだまだ福井の民主主義の向上は期待できる。
市民オンブズマン福井は、福井の住民が、日々の行政活動で感じた疑問を持ち寄って、皆で話して、それを法的に形づくっていく、住民のゆるやかな活動だ。発足当初から変わらぬメンバーもいれば、途中から入ってこられた人も、また新しく入ってくる人もいる。行政に対して感じた疑問や「これはおかしいやろ」という怒りを、単にぼやいたり、井戸端談義で終わらせるのではなく、法的に形作っていく。それも、自分の利益のためではなく、公益のために動いていく。これが民主主義であり、住民自治だ。
たとえば、小浜市では、住民の一人が情報公開請求をしていた時代は、情報公開の担当課もなかったのに、オンブズマン組織を作ったことで、市に情報公開を担当する「情報課」が設置された。考えてみれば、小浜市は福井県下でもいち早く公文書公開条例が制定された「情報公開先進自治体」である。それがオンブズマン組織が出来たことで、ようやっと、情報公開の体制ができた。私たちの活動が地方自治の制度の内実を作り上げている。いわば仏像に魂を入れるのが私たちの市民オンブズマン活動だ。
地方分権が世の中ではかまびすしい。国レベルでは地方自治体の首長が中心になって政党もできた。今度の参院選では候補者も擁立されるらしい。しかし、地方分権は、情報公開の体制整備も、住民の目線に立った情報公開の運用もできない自治体には担う資格がない。住民の目線に立つことのできない「自治体」が語る「地方自治」は、国の方だけを見る「ひらめ」「おねだり」地方行政団体でしかなく、住民に目を向ける地方自治体ではない。市民オンブズマン活動は、まさに地方行政団体をして地方自治体に発展させる、真の地方分権活動なのだ。
投稿者:ゆかわat 22 :06
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障害者自立支援法に関する質問から
最近受けた法律相談で次のようなものがあった。
今まで通っていた病院は遠いので近くにある病院で診察を受けたいと福祉事務所に相談してその病院に行って、医師に対して「障害自社自立支援法の枠内で診療をお願いします」と伝えたところ、医師は「後で受付で相談して」と言っていろいろ検査をしたが、支払の段階になって「医師に確認したところ、全額自費だと言われた」ということで医療費の国保の自己負担分の請求がなされた。障害者自立支援法の枠内で診療がなされるかどうかは病院や医師によって変わるのは分かっているが、医師に相談した段階で自費になるかもしれないと言われていたら、そこで診療を受けることもなかったのに、医師の対応は問題ではないか。
乳児医療などの例からすると、行政から認定を受けた者は全ての診療行為につき月額上限負担額が決まっており、上限負担額を超えた部分は全額行政が負担するというものだから、障害者自立支援法の枠組もそういうものかと思ったが、ご本人は、医師の判断に委ねられているのだという。
しかし、法律を見ると次のようになっている。
障害者自立支援法
5条18項「自立支援医療」とは、障害者等につき、その心身の障害の状態の軽減を図り、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な医療であって政令で定めるものをいう。
その政令である障害者自立支援法施行令によると
(自立支援医療の種類)
第一条 障害者自立支援法 (以下「法」という。)第五条第十八項 の政令で定める医療は、次に掲げるものとする。
一 障害児のうち厚生労働省令で定める身体障害のある者の健全な育成を図るため、当該障害児に対し行われる生活の能力を得るために必要な医療(以下「育成医療」という。)
二 身体障害者福祉法 (昭和二十四年法律第二百八十三号)第四条 に規定する身体障害者のうち厚生労働省令で定める身体障害のある者の自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、当該身体障害者に対し行われるその更生のために必要な医療(第四十一条において「更生医療」という。)
三 精神障害の適正な医療の普及を図るため、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 (昭和二十五年法律第百二十三号)第五条 に規定する精神障害者(附則第三条において「精神障害者」という。)のうち厚生労働省令で定める精神障害のある者に対し、当該精神障害者が病院又は診療所へ入院することなく行われる精神障害の医療(以下「精神通院医療」という。)
となっているので、支給認定を受けた障害者はすべての医療費が支給されるわけではなく、育成医療や更生医療や精神通院医療に限られているようだ。しかし、自立支援医療費が支給される医療に該当するかどうかは、医師に判定を委ねるという規定でもない限り、医師が個別に判断するのではなく、市町村等が判断するのが普通だ。しかも、相談者が福祉事務所に相談して医療機関を今までの医療機関から別に指定されたのだから、そこで受ける診療行為について自立支援医療費が支給されるのは当然だと思われる。
百歩譲って、医師が個別に認定するとしても、相談者の話によれば、相談者が自費で負担することを申し出て診療を受けるはずもなく、現に医師に相談して確認を得て検査等を受けたというのであり、医師が後になって全額自費となることを相談者が承認したというのは明らかに不自然であり、相談者の供述内容が真実だと思われた。
投稿者:ゆかわat 22 :10
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男性更年期障害?
先日、朝から何となくお腹の調子が良くないなと思っていたところ、夕方、床屋に行って髪の毛をカットしてもらっている間に急に気分が悪くなってきた。
帰宅したら、体が寒くて冷や汗が出てきた。手や足が冷たいので手袋や靴下を履いて、お腹も痛いので湯たんぽをお腹に抱いて寝た。
次の日もまだ調子がよくならず、その次の日はお腹といっても胃がとても痛いことが分かった。腸の辺りを押しても痛くも何ともないが、胃部がとても痛いのだ。こんな経験は初めてだった。もしかして、もう年だし、胃ガンだろうかと真剣に悩んだ。
次の日の朝、ボッとTVを見ていたら、男性更年期障害の話をしていた。その症状は、頭痛、胃痛、・・・。何だ、自分の症状は更年期障害だったのか、胃ガンじゃなかったんだと思ったら、急に体の調子が良くなって、食欲がわいてきた。
しかし、それで良かったのかな。
投稿者:ゆかわat 21 :23
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ロースクール新学期
法科大学院の新学期が始まった。私が教授として授業を担当するのも2年目になる。去年は、辞令交付の時がこんなきれいな満開の桜だったなと思い出す。
非常勤で行政法演習を担当してから既に5年経つが、回を経るごとに、少しずつ内容を見直している。今回、一番大きな見直しは、これまで受講生はある程度は行政法の理解が出来ていると思い、内容的にも複雑なものを複数取り入れ、授業での受け答え、いわば本来の口頭弁論方式で授業を組み立てていたが、もう少し足下を見直すことにしたこと。具体的には、いきなり複数の論点が絡み合う問題に取り組むのではなく、個別行政法規をもう少し丁寧に見ていくことにした。また、最近の学生諸子は、口頭での議論はついてこれるが、文章を書くのが下手だ。自分らの頃は逆だったと思うが。そこで、文章を書く練習に一つの軸足を置くことにした。授業の質問や感想も文章で求めることにした。
そこで、これまではもっぱら私のオリジナルの問題を使用していた(もちろん、素材は私自身の担当した事件や最高裁判決からとっている)が、今年は、「公法系訴訟実務の基礎」を題材に用いてみることにした。もちろん、問題文だけそこから借用し、設問はまたオリジナルだが。
どんな出来になるか楽しみである。
投稿者:ゆかわat 09 :34
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