今、検察が問われているもの
郵便料金不正請求事件無罪判決、前田特捜検事の証拠ねつ造事件、そして尖閣列島中国船長事件という一連の事件で検察が問われているものは、検察の捜査の常識が世界の常識グローバルスタンダードに照らせば非常識だということだ。
中国船長事件に至っては、検察が政治情勢を判断して処分保留で釈放したのに、中国政府はさらに態度を硬直化させて、日本の司法手続きは無効であるとして日本政府に謝罪と賠償を求めている。心情的には何なんだということになるが、冷静に考えると、何でも否認したら逮捕して勾留してさらに勾留延長するのが捜査の常識であったが、それが間違っているということではないか。
起訴便宜主義の見地からすれば、検察が世論の動きや政治情勢を考慮して処分保留のまま釈放するのもおかしくはない。那覇地検が福岡高検、最高検と協議した上で、これで問題なしとして記者会見をしたのだが、それが国際政治情勢を考えれば、全くの素人判断だったということだ。
前田検事の証拠ねつ造にしても、これまで常識的におこなわれてきたことだ。少なくとも証拠のねつ造まではなくても、被告人に有利な証拠を握りつぶし、これを隠匿することは日常茶飯事的におこなわれてきた。死刑えん罪事件の反省の上に立って証拠開示には応じないという姿勢がとられるようになった。
弁護士は常にこうした検察のあり方を批判してきた。しかし、その批判に一向に目を向けなかったつけが今でてきているのだ。
同じ批判は、裁判所にも向けられるべきだ。今までこのような検察のあり方を黙認して、正当化してきたのは裁判所だ。
そんな司法手続きは、「人質司法」で無効だと私たちはずっと叫んできた。今、中国がそれを言っているにすぎない。私たちが言っても聞き入れないが、中国が言ったら聞き入れるというのは情けない限りだが、これまでも日本の司法はアメリカ等の外圧によって開かれてきたのが真実だ(行政手続法がその典型例だ)。
検察、そして司法手続きを、グローバルスタンダードで見直す契機とすべきだ。
投稿者:ゆかわat 22 :57
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中国人船長処分保留で釈放
那覇地検が中国人の船長を処分保留のまま釈放することを決めたことについて、元東京地検公安部長の若狭勝弁護士は「事件捜査としては、こう留期限まで5日も残して釈放するのは異例だ。那覇地検は、釈放の理由について『国民の利益や日中関係を考慮したなかで、捜査を継続するのは相当でない』と発表したが、検察がこうしたことを独自に決めたとすれば、捜査機関が外交的な判断を行ったことになり問題だ」と述べたという。
若狭弁護士も検察批判をするんだ、というのはともかくとして、そもそも公務執行妨害で何でもかんでも勾留して身柄をとる捜査手法が誤っている。
とりわけ、今回の処分保留・釈放の理由として那覇地検次席検事が述べた理由、被害は実質的に発生していない、計画性がない、前科前歴がないという理由は重要だ。これからどんどん使わせてもらおう。30%ぐらいは釈放されることになるだろう。
投稿者:ゆかわat 00 :25
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特捜検事逮捕
21日、郵便料金不正事件で証拠品のフロッピーデスクのデータを改ざんしたとして前田恒彦大阪地検特捜部主任検事が証拠隠滅容疑で逮捕された。
フロッピーデスクのデータの最終更新日時を専用ソフトを使って改ざんしたという。検察に有利な証拠を、検察がいかに勝手に作り出すか、恐ろしい限りだ。
ところで、この「専用ソフト」というのは何か。タイムスタンプ変更ツールなどどうして検察庁が所持しているのか。常に検察はこうやってデータを改ざんしているということではないのか。
警察・検察とも捜索押収時にはパソコンその他をそのまま一斉に押収するから、国民にはデータを改ざんされたとしても、検証のしようがない。
今回、前田検事は、せっかく自らの描く構図に合致するように、証明書の最終更新日時を変更したのに、どうして証拠申請しなかったのか。前田検事はOSの日付は変更したものの、アプリケーションソフトの日付データと矛盾する結果となったため、使い物にならなかったからではないか。
本当の証拠偽造はもっと奥深いところにあるのではないか。検察から証拠申請された証拠群の中にも偽造証拠が含まれているはずだ。検察はそれを表に出すことはできないから、証拠申請しなかったものを出してお茶を濁しているのではないか。偽造したものは証拠申請していないかのような、自浄作用が働いているかのように装っているだけであろう。
前田検事は小沢・元民主党幹事長の政治資金規正法違反事件でも石川議員の調べを担当している。当然のことながら、その調書の信用性もこれでゼロになった。そもそもが小沢事件自体も、特捜検察の勝手に作り上げた事件ではないのか。今回の前田検事逮捕はそれを証明している。
今回の特捜検事の逮捕は、トカゲのしっぽ切りだ。民主党政権の下では、小沢代表は実現しなかったものの、下手をすると本当に特捜解体につながりかねないため、先手を打って、前田検事をスケープゴートにして幕引きを図ろうとしているのであろう。しかし、主任検事の一存で証拠隠滅できるはずがない。少なくとも検察の上層部を含めて組織的に行った証拠のねつ造ではないか。地検特捜部は直ちに解体すべきだ。
投稿者:ゆかわat 22 :36
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日弁連第24回司法シンポジウム
11日は、東京・弁護士会館まで司法シンポジウムに参加した。司法シンポジウムに出席するのは、もう10数年ぶりだろう。久しぶりに司法シンポジウムに参加すると、古巣に帰ってきたような懐かしい安心感に包まれる。多くの先生方に久しぶりの挨拶を交わした。京都にいるよりも挨拶を交わす弁護士が多いのは相変わらず困ったもんだ。
行政訴訟分科会に参加した。テーマは、行政訴訟における裁量統制をどう図るか、団体訴訟の導入、公金検査請求訴訟の導入の3つだ。
日弁連の提案する裁量統制の手法は、行政事件訴訟法30条を改正して裁量逸脱濫用の判断基準を列挙すること、行政の意思決定過程文書の作成を義務化すること、そして個別行政法規の国民的視点からの継続的見直しのための行政法改革会議(日本版ACUS)の設置というものだ。
公文書管理法は「当該行政機関における経緯を含めた意思決定に至る過程を合理的に検証できるような文書の作成を義務化するものだが、法令の制定改廃、閣議決定、個人の権利義務の得喪に係るものに限定されている。それを行政上の意思決定過程全部に広げるのだ。裁判所が近時強めている裁量の判断過程を統制するためにも、判断過程が記録化されていなければ裁量統制はできない。処分過程の可視化が不可欠だ。
しかし、現実には、行政処分の起案文書を見ても、処分通知書を別添としたうえで「別添のとおり処分してよろしいか」としか記載されていないから、判断過程は全く分からない。訴訟になってから、準備書面において判断過程が跡づけ的に主張されるだけだ。しかし、原告の主張や裁判所の求釈明に対する処分庁の主張は、現時点でこう考えるというものにすぎない。しかし、それは行政訴訟のあり方としておかしい。
シンポジウム当日の目玉、滝井元最高裁判事と中川神戸大教授の対談が興味深かった。従来、裁量に対する司法審査は、処分庁の判断が一応もっともらしいかどうかで判断していた。しかし、それでは適法となるのは当たり前。むしろ、裁量統制とは、実定法の解釈基準がないのを前提として、処分庁に処分の理由を説明させ、それが合理的かどうかを審査すること。その際、重要なのは、具体的事実を前提として、その事実を考慮しないのは何故かを審査することだ。何を考慮事項として取り上げそれをどう評価するか。それが考慮事項審査だ。ということだったと思う。
早速実践してみよう。
投稿者:ゆかわat 08 :42
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郵便料金割引料金制度不正事件無罪判決
10日、大阪地裁は障害者団体向け郵便料金割引制度不正利用事件で虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた村木局長に対して無罪判決を言い渡した。特捜検察の自白主導捜査に対する全面断罪である。特捜検察は大阪・東京とも全面解体すべきだ。
昨夜、まだ無罪判決が確定したわけでもないのに、無理矢理、検察官から事実に反する、いや事実を勝手にねつ造した供述調書への署名捺印を強制されたとする関係者のインタビューを流しているTVを見た。本人が言っていないことを勝手に作り上げ、それを認めることを強要する。ひどいものだ。いや、ひどいを通り越して、明らかに権力の濫用であり、国家犯罪だ。
問題は、これがこの事件限りのものかどうかということだ。本件は氷山の一角に過ぎない。基本的に特捜検察がねらう事件は、すべてこのような権力の濫用によりでっち上げられた事件だ。恐ろしいのは、そんな権力によってでっち上げられた事件であるにもかかわらず、無罪であることが「証明」されたのは、「奇跡的な」偶然が重なった結果によるものであって紙一重であったということだ。「奇跡的な」偶然とは、関係者が全員公判で捜査段階の供述を覆したこと、そして国会議員のゴルフ場での「アリバイ」が認められたこと。
どうしてこれが「奇跡的」か?特捜検察が密室で、ありもしないでっち上げの調書にサインを強要して、それで「落ちた」関係者は、全人格的に検察権力に屈服させられてしまい、しかも供述を覆したときの自分の生活全領域での不利益をほのめかされているために、あるいは「自発的に」それが真実だと自らに信じさせ、あるいはもう関わりたくないという思いから、供述を覆さない。それは新興宗教の洗脳と同じだ。だから、ほとんどの事件では関係者は捜査段階の供述を維持する。その結果、有罪判決が維持された事件がどれほどあるだろう。その典型がホリエモン事件だろう。おそらく小沢事件でも、特捜検察は石川議員をそのようなスケープゴートに仕立てようとしたが、失敗したので、今度は、検察審査会を使って再度立件することをねらっているのだろう。
マスコミ諸氏も、そのような目で、小沢事件も見直すべきだろう。
投稿者:ゆかわat 23 :57
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公務員は国保に入れ
9月6日日経の「インタビュー領空侵犯」での片山善博慶応大教授・元鳥取県知事の説だ。とてもわかりやすい。公務員が自分たちだけの特別の医療保険を持っているのがおかしいのであって、公務員は国民の奉仕者なのだから、国保に入れという。リードにあるとおり「保険財政は一挙に改善」するだろう。民主党政権もこれぐらい思い切って打ち出せばどうか。
投稿者:ゆかわat 20 :34
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日弁連環境法サマーセミナー
今回、はじめての試みとして、日弁連主催で「第1回環境法に関する法科大学院サマースクール」が上智大学で開催された。
私も、今年度から京都産業大学法科大学院で、環境法の演習の授業を担当することから、本学の修了生3名と一緒に、9月4日5日の2日間6コマのサマースクールに参加してきた。100名以上の参加者がいて、会場は熱気で包まれていた。
佐藤泉先生(筑波大)の循環法の講義、村松昭夫先生(京都大)の公害紛争の講義、籠橋隆明先生(名古屋大)の環境行政訴訟の講義、北村喜宣先生(上智大)の環境法の講義、池田直樹先生(関西学院大)の環境法を学ぶ実践する講義というもので、なかなか充実していた。
私としても、法科大学院の環境法の授業の構成・内容・質を勉強する良い機会となった。
でも、何より驚いたのは、研究者である北村先生と松村先生以外は、全員、私と司法研修所同期生(39期)だということだった。弁護士となったときは、それぞれ別の土地で、それぞれ違う道を目指していたと思ったが、結局、皆、立ち位置は違えども、同じところを目指して一堂に再開したのは、何とも感激した。
しかも、佐藤泉先生が、廃棄物問題を排出事業者・処理業者の立場で特化して扱っているのを知ったのも、新鮮な驚きだった。
しかし、日頃廃棄物問題を取り扱っていて、それなりに専門家を自負している私が聞いても、へえなるほど、そういう問題があるのか、そう考えるのかとうならされる専門的な講義内容だったが、院生が聞いて理解しているのには、さらに驚かされた。
投稿者:ゆかわat 21 :59
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再生医療厚労省指針は幽霊か?
3日の日経夕刊を見ていたら、「再生医療 臨床研究に難題」「厚労省指針に現場から悲鳴」と題する再生医療に関する記事が載っていた。
厚労省は2006年9月に再生医療の臨床研究に国の事前審査を義務付けた「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」を導入したが、指針が施行されてから骨・関節領域の臨床研究が停滞したという。
ところで、この「指針」の法的性質は何だろうか。
法規か?
単なるガイドライン、研究指針にすぎないから、法的には何ら効力を持たない行政規則にすぎない。
ところが、この法的効力を持たないはずの「指針」が研究活動を現実に規制している。しかし、「指針」は法的効力を持つものではないから、裁判所に訴えを提起して争うこともできない。幽霊はヒトを驚かすが、訴訟を提起して排除することはできない。「指針」も幽霊のようなものだ。
投稿者:ゆかわat 00 :10
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