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2006 年1 月26 日

自治体の研修(2)

 昨日、今日の2日間の日程で、京都府中部の自治体で政策法務の研修に行ってきた。朝9時から夕方5時までの2日間。私も疲れたが、聞いている職員も疲れたろう。法学部出身でもない人たちにとって、法律用語がシャワーのように浴びせられるのだから、よくも眠らずに聞いていられたものだと感心する。考えてみれば、自分自身、学生時代、法学部の授業に出て、いつも理解できずに居眠りしていたのだから。

 いつも思うことだが、研修の前に事前に現地に出向いて、現地の状況を見た上で、自分なりに現地の政策課題を把握して、そして職員の問題関心や執務状況も理解してから講義をしたいと思うのだが、なかなかそこまでは出来ず、ついつい、ウェブで現地の例規集をいくつかチェックし、現地の議会のホームページで何が問題になっているのかをかいま見る程度で、後は研修前の担当事務局の方との短い会話の中で状況を探る程度しかできないのが歯がゆい。

 しかし、今週は、月曜は富山・金沢・福井、火曜は調停、水木が研修で全く事務所にいない1週間だった。

投稿者:ゆかわat 22 :15 | ビジネス | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

ライブドア社長逮捕

 24日、ライブドア事件でついに社長以下幹部が逮捕された。捜索がなされたことから逮捕は免れないかとも思っていたが、まさかここまで早く東京地検特捜部が逮捕に踏み切るとは予想もしなかった。捜索によって収集した社内メールや、内部告発が決定的な証拠になっているのではないかと想像される。それら一つ一つの証拠価値は乏しい(メールは発信した状況が不明だし、推敲もあまりされずになされるので、額面どおりに受け取ることは不可能だ。)が、それらを紡ぐと事件性が見えてくるのだろう。
 こうなってくると、堀江社長としても戦術の選択肢が限られてくる。いかに本件強制捜査が違法だとしてもそれを裁判で明らかにするには数年を要するし、その間保釈されることはまず期待できない。オウム主任弁護士の安田弁護士事件でも、全国の数多くの弁護士が尽力してそれでも1審無罪判決をとるのに数年を要したし、保釈されるまでにも1年以上を要した。ましてや堀江社長なしで1年以上もライブドアが持ちこたえるとは思えない。そうすると、早期に全面的に自供して保釈をとるしか途はないのか。

 ニュースを見ていると、買収対象企業の価値がゼロ円であるのに、それに一時的に融資をして資産価値を高めたことが問題だという。しかし、融資をしたら、資産も増えるが債務も増えるから資産価値は変わらないのではないか。それに、買収企業の価値は常に変動するのが当たり前だ。だから、企業買収の時点では評価の時点を固定してその時点で企業価値を決定する。評価時点を高く見せようとしていろいろ画策するのは、企業買収では当たり前のことではないか。

 社長が表に出さなくてよいことは発表しなくてよいと発言したことが問題だと言う。確かにディスクロージャーの面では問題があるが、一般論としては、それが望ましい社長の姿勢だとは思わないが、特に違法だとも思えないのだが。

 フジテレビがライブドアの株価が値下がったので損害賠償請求を検討していると言う。しかし、今は取得時に比べて株価が下がっているため含み損が発生しているかもしれないが、将来株価が回復したら損害はないことになる。何時の時点で株価を見るかによって損害の有無も損害額も異なる。そのようなものについて損害賠償請求できるのか、そもそも損害とは何なのかが問題だ。

投稿者:ゆかわat 22 :04 | ビジネス | コメント(0 ) | トラックバック(1 )

2006 年1 月21 日

ライブドア事件の社会文化的本質?

今朝のニュース番組を見ていたら、本件の核心は@株式交換で会社を買収したと言っているが、実際は現金買収で株式を割り当てていないことと、A買収で得た利益を資本としてではなく売上として計上したことが大問題だと説明していた。

しかし、@新株を割り当ててそれを買い取って市場で売却したのであれば何も問題はないのではないか、Aライブドアという企業にとってみれば会社の売買で得た差益は売上げ・利益にあたるという見方ができるのではないか。

監査法人の幹部は「法律的にはともかくやっちゃいけないこと」と言って非難していた。
キャスターも「スピードや金だけを求めてものづくりを忘れている」と非難していた。ライブドアや楽天といったいわば実体のない企業に対する不安がそこにある。

 そこに見えてくるのは、旧来の社会秩序を壊してきたライブドアに対する反発であり、これまでの日本経済・株式市場の失敗・低迷をライブドアを象徴とする新たな価値観を持った若手企業が立て直してきたのに、日本経済がようやく立ち直ってきたからもうその必要はないと言って若手企業の排除を目論む旧社会秩序の復興ではないか。

 東京地検特捜部がいよいよ社会秩序の維持そのものを目的として、新たな「錬金術」の規制を図り、新秩序を経済的にも(株価はすでに半分程度になってしまった)、社会的にも(彼を支持してきた人心も離反してきた)パッシングしている姿が見えてくる。

「最近の若者は」ニートばかりでだらしないと言いながら、ライブドアのように急激に成長してきて自分たちの既存の秩序を壊し始めると、また「最近の若者は」と言ってつぶしにかかる。この日本という国は本当に救いようのない国に思えてくる。

投稿者:ゆかわat 08 :45 | ビジネス | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

2006 年1 月20 日

ライブドア家宅捜索

 この日記は1月17日に書いたものです。

1月17日各紙朝刊に「ライブドア家宅捜索」の記事が大きく載った。
日経朝刊によると、「ライブドアの関連会社が2004年、企業を現金で買収した後に、株式交換で買収するとの偽った情報を開示し、虚偽の決算を公表していた疑い」「証券取引法違反(偽計取引、風説の流布)の疑い」ということだ。

 私は商法にあまり詳しくないのでどうもよく分からないが、ライブドアマーケティングがマネーライフ社を株式交換で買収すると公表したが、その前にライブドアが実質支配する投資組合が現金買収していたから開示内容が虚偽だった偽計取引の疑いだと言うことだが、一体何が違法行為だというのかよく分からない。マネーライフ社の実際の買収は投資事業組合がその株式を現金買収した時点で完了しているから、ライブドアマーケティングによる買収は投資組合がライブドアマーケティングの株価の値上がり益を得るために実行されたのではないかというのが容疑の理由となっているとみられるというのだが、どうしてそれが違法なのだろう。

 今回のこの事件では、ライブドアによって誰かが騙されて損をしたということはない。ライブドアが虚偽の事実を公表してそれで儲けたということなら分かるが、投資組合という別の法人格が買収したマネーライフ社をさらにライブドアマーケティングが買収したのは事実なのだから、そこに虚偽という余地はないのではないか。投資事業組合をライブドアが実質的に支配していたというのが「違法」説の根拠らしいが、「実質的支配」という極めて曖昧な概念で強制捜査に踏み切るというのは、罪刑法定主義に反するおそれがあるのではないか。

 そもそも株式というのは実体のない価値だ。それを皆が資産価値が高い、高くなると思えば、買いが集中して値上がりする。誰もが、ライブドアの次の一手を注目し、マネーライフ社買収という情報ですら買い材料だと判断したから株価が上昇した。そこにどんな法益侵害があるというのだろう。

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投稿者:ゆかわat 21 :44 | ビジネス | コメント(0 )

ライブドア捜索の日

今朝のTVニュースでライブドアに強制捜査が入ったときの状況を報道していた。
広報担当者が「皆、パソコンから離れて」と叫んで回ったという。いかにもそれがライブドアが強制捜査逃れをしているかのように感じたが、強制捜査が入っているときに捜索対象のパソコンから離れるように指示するのは当然のこと。おそらくは捜査官から指示があったのを伝達したのだろう。正しいことだ。

捜索の時捜査官が「皆パソコンも携帯もしないように」と言ったという。このうちパソコンをするなというのは、先に述べたとおり正しいことだ。しかし、携帯するなというのは誤りだ。捜索対象ではない。捜索を妨害したり、捜索対象物を隠匿するための携帯電話はだめだが、それ以外は何も問題ない。往々にして捜索現場では皆動揺しているから、捜査官の言動を全てそれに従わないと自分が逮捕されるかのように思うが、間違い(刑事訴訟法的には。もっとも捜査実務としては正しい)も多い。

投稿者:ゆかわat 08 :43 | ビジネス | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

2006 年1 月19 日

ライブドア事件

今日の日経夕刊に「ライブドア虚偽公表 別の3社買収でも疑い」とのリードの記事があった。なかなか事実関係が分かりにくいが、私なりに理解したところでは、@ライブドアが3社と株式交換契約をしたとして04年3月に完全子会社とすると公表したが、A実際は、3社の株主には交換名目で新規発行した自社株は渡さず、事実上現金で買収した、B新株はライブドアが実質的に運営する投資事業組合に渡り、売却益の大半はライブドア側に環流、売上高と利益に不正計上されたということらしい。

しかし、Aは、株式交換で発行して3社の株主に割り当てた株式を、ライブドアとは別の法人(たとえば投資組合)が現金で買い取ったのであれば、何も問題はないのではないか。
Bは、投資事業組合というのは所詮他社の出資で成り立つ法人であるから、ライブドアの出資する投資組合が株式を買い取って市場で売却すれば、投資事業組合として利益が出ればその利益が出資者であるライブドアに配当されるのは当然のことではないか。
これを「株式交換を装って現金で買収した」と評価する方がおかしいと思う。

もっとも、これは新聞記事のみに基づくコメントなので、間違っているかもしれないが。

しかし、「東京地検は市場ルールを逸脱した一連の「錬金術」の全容解明をすすめる方針だ」と言うが、市場ルールを逸脱していたとしても、それが「違法」でなければ、全容解明は行き過ぎではないか。些細な別件を理由に何かもっと悪いことをしていないかを捜査する別件逮捕に似た臭いを感じるのは私だけだろうか。
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投稿者:ゆかわat 21 :31 | ビジネス | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

2006 年1 月12 日

脱法ドラッグ初告発へ

1月11日の日経夕刊に、「若者の乱用が懸念されている脱法ドラッグ「RUSH」を米国から大量に輸入したとして、厚生労働省は輸入業者を薬事法違反(医薬品無許可販売など)の疑いで告発する方針を固めた。」「RUSHは無許可医薬品の亜硝酸エステル類を含有する揮発性の液体。アダルトショップなどで「芳香剤」「ビデオヘッドクリーナー」などの名目で販売され、性的快感を高める目的で若者の間で乱用されているという。」「厚生労働省は昨年10月、輸入業者に販売中止や自主回収などを指導したが、業者は「輸入しているのは脱法ドラッグではなく芳香剤」として指導に応じないため、刑事告発することにした。」「厚生労働省は成分の有害性を確認した脱法ドラッグは麻薬や向精神薬に指定し、麻取法で規制しているが、指定までに1年以上かかるため、薬事法での取締を強化。」と報道されていた。

 脱法ドラッグを取り締まるという政策はもっともなことだ。問題は、その手法にある。
 この事件で問題とされた輸入業者の行為は、薬事法24条「薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売してはならない。」に違反しているということなので、問題は「RUSH」が「医薬品」に当たるかどうかだ。新聞では、簡単に「RUSHは無許可医薬品の亜硝酸エステル類を含有する揮発性の液体」と厚生労働省発表を鵜呑みにした記事になっているが、ここが一番の問題だ。条文としては薬事法2条3号。「RUSH」が「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物」にあたるのか。輸入業者の主張するように、「RUSH」が「芳香剤」としての目的で製造販売されているものだとすれば、「医薬品」には当たらない。これはいわゆるあんパンに用いるゴム糊(トルエン)が、シンナー薬物として若者に使用されているからといって、「医薬品」とはされないのと同じだ。ゴム糊を若者があんパンに使用することが分かっていて販売したとしても、無許可医薬品販売に当たるとはよもや厚生労働省も言わないだろう。

 次に、厚生労働省は、輸入業者に販売中止や自主回収を指導したが指導に応じないので刑事告発したという。しかし、厚生労働省が「RUSH」が「医薬品」にあたると判断しているのであれば、薬事法69条の3に基づき、厚生労働大臣は、医薬品による保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、医薬品販売業者に対して、医薬品の販売を一時停止することその他保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための応急の措置を採るべきことを命ずることができるのであるから、捜査当局に丸投げするのではなく、自らの責任で行政措置をすべきであろう。

 しかも、麻取法で規制するには時間がかかるから薬事法で取締を強化するというのも、本末転倒だ。目的のために手段・手続は選ばないという、別件逮捕のようなやり方は、いい加減に慎むべきだろう。

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投稿者:ゆかわat 23 :52 | ビジネス | コメント(2 )

2006 年1 月11 日

鹿児島出張

今日は、鹿児島地裁で証人尋問。排水処理施設のコンクリート水槽の施工不良に関する損害賠償請求訴訟で、元請け業者の現場管理と本社技術担当者、下請け業者の部長の3人の証人尋問を午後いっぱいかけて行った。

今日の鹿児島は15度のぽかぽか陽気で、桜島もきれいに見えた。でも、そんなのどかな光景から隔離された、窓のない法廷で、午後1日缶詰になる。

相手方代理人の先生は元検事。さぞかし追及は怖いのだろうなと身構えていったが、予想通り。先方の証人の主尋問では、尋問しているうちに、先生自身、元請け業者の対応に立腹してきたのか、「工事代金の全額を請求していたのに、半分以下の内金を、それも半年サイトの手形で支払ってもらったというのか!それで、わざわざ大坂まで行って工事代金残金と再施工の工事代金の支払の約束をもらったのか!具体的にどういう言葉で約束してもらったのか!」という具合だった(わが依頼者は、下請け業者の水槽工事に施工不良があったので、施主の意向もあり、その補修として下請け業者に取壊し・再施工をしてもらったが、納期遅れにより多額の損害を被ったので下請け業者にさらに損害賠償を請求したのだが、相手方は、大した施工不良でもないのに元請けから無理矢理取壊し・再施工を命じられたのだから、再施工分も含めて工事代金を支払って欲しいという裁判だ)。

下請け業者の部長の話を前提にすれば、相手方の先生が尋問で怒るのももっともかと思うが、わが依頼者の担当者の証言、そして我が依頼者がお願いしている技術者の意見とは全く異なった証言であるだけに、むげにその証言を信用することもできない。

自分が調停官としてこの事件を担当すれば、客観的に事案を見ることもできるのだが、やはり当事者代理人として事件を担当すると、つい我が依頼者の言い分を優位に置いてしまう。

最後に、裁判官が下請け業者の部長に補充尋問をしたのが気に掛かる。「あなたとしては、クラックもなければ、水が流れるように漏水したということでもなく、予想通りの絞り出るような漏水が生じただけなのに、どうして取壊し・再施工に応じたのか?契約当初から内防水を提案していたのに、それを採用しなかった元請けに過失があるから、元請けの費用負担で取壊し・再施工をするという認識だったのか?」私としては初めて聞く内容だし、これまで主張もされていなかったことだし、およそ事実に反する内容だと思ったが、下請け業者の部長もそこまで明確に言っていなかったのに裁判長がそこまで言わせたことをどう評価したら良いのだろう。悩むところだ。

投稿者:ゆかわat 23 :57 | ビジネス | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

2006 年1 月1 日

旧年回顧

京都の大晦日は、市内各所から響き渡る除夜の鐘の音とともにふけていった。自宅に一番近くに聞こえた鐘の音は、方向からすると、六角堂だったのだろうか。そして、新風館で今年から始まったカウントダウンパーティー会場から聞こえる、新年のカウントダウンで新年を迎えた。

振り返ってみると、1昨年は最高裁での逆転勝訴判決2件(カラ出張文書情報公開訴訟、カラ出張住民訴訟)で非常に気をよくした1年だったが、去年は高裁判決に泣かされた1年だった。

京大任期制教授再任拒否訴訟の大阪高裁判決。行訴法改正の流れ、最高裁の流れ、そして任期制の構造分析と京大での任期制(再任拒否)の実態解明に成功したことからすれば、再任拒否が行政訴訟(取消訴訟)の対象となることは明らかなのに、1審判決を上塗りしただけの無内容な判決。

2つ目は、産業廃棄物処理業取消処分取消訴訟。町のゴミ処理を正常とする生業とする業者が、県内の大きな企業から「今までのごみのついでに糸くずも処理してくれ」と頼まれ、産業廃棄物収集運搬業の許可をとった。産業廃棄物処理責任は排出事業者にあるのに、排出事業者は零細ゴミ処理業者に責任を押しつける。今まで契約書もなかったから、契約書を作ってきてくれという。でも、誰に廃棄物の処分を依頼し、誰に廃棄物の収集運搬を依頼するかは排出事業者が決めることであって、それをゴミ処理業者に丸投げすることがそもそも間違っている。ところが、ゴミ処理業者はとにかく言われるままに適当な契約書を作って持っていった。重要な事項は白紙のままで。そしたら、そこに書いてある処分業者とは違う業者に廃棄物の処分を委託したということで、再委託禁止違反等を理由に県から産廃処理業の許可を取り消された。産廃処理業の許可の取消は、単に産廃だけにとどまらず、この業者の生業であった一般廃棄物収集運搬委託の資格をも取り上げた(国の法令が両者をリンクさせている)。1審福井地裁は原処分を取り消したが、金沢高裁金沢支部は、適性証人の言い分は丸飲み、業者にはしつこく尋問してしどろもどろにさせ、判決言い渡し期日を再三延期して、逆転敗訴判決を言い渡した。


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投稿者:ゆかわat 07 :59 | ビジネス | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

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