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2009 年7 月31 日

行政不服審査法案廃案へ

 7月21日、衆議院が解散されたことに伴い、重要法案がいくつも廃案となった。30日の日経夕刊には、廃案になった主な法案として労働者派遣法改正案、障害者自立支援法改正案、肝炎対策基本法案等があげられているが、行政不服審査法改正案が載ってない。
 新聞ネタとしては、「重要法案」ではないのかもしれないが、国選快活には重要な法案として行政不服審査法改正案がある。

 第169回国会(2008年)において、不服申立ての手続を原則審査請求に一本化することや、審理員による審査請求の手続、行政不服審査会等による諮問手続の設置、審査請求期間の3ヶ月への延長などを内容とする行政不服審査法の全部改正法案が内閣より、提出された。しかし、当該法案は、2度の継続審査とされた後、第171回国会(2009年)が2009年7月21日、衆議院解散による審議未了により廃案となった。


投稿者:ゆかわat 08 :21 | ビジネス | コメント(0 )

2009 年7 月29 日

銀行に対する業務改善命令の是非

 金融庁は7月28日、公的資金を注入している銀行6行に対して業務改善命令を発した。
 行政処分の根拠は、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律第20条第2項及び銀行法第26条第1項だ。
 経営健全化計画の利益目標を3割以上下回ったことが理由だという。「国内外の子会社・関連会社株式の減損、及び国内外の様々な投融資に係る有価証券関連損失の増加」等の主因への対応策を考えろと言うが、要するに、もっと「儲けろ」という命令だ。

 しかし、監督処分というのは法の保護する顧客・公益を害するが故に発動されるものであるのに、もっと「儲けろ」というのは、何か解せない。銀行がもっと儲けるためには、手数料を上げ、預金利息を下げ、貸付利息を上げ、店舗を廃止し、従業員を整理し、ATMを撤去する以外にない。実際、私がよく利用する地方銀行などそのような事態が発生している。すべてのしわ寄せは、顧客と労働者に押しつけられている。顧客の利益を害せという監督命令はいかがなものか。
 このような解釈・運用を可能にしているのは、銀行法等の業務改善命令の根拠法規が公益保護規定(国民経済の健全な発展に資することを目的とする)であって顧客の利益保護規定でないからということになるのだろうが、個人の利益を離れた公益規定など、省益と銀行の利益保護規定の隠れ蓑でしかないのではないか。

投稿者:ゆかわat 22 :11 | ビジネス | コメント(0 )

2009 年7 月20 日

地方分権改革の今後の10年〜自治体法務合同研究会(2)

今年の自治体法務合同研究会のテーマは、「地方分権改革と自治体法務〜今までの10年、これからの10年」であった。

「地方分権」、「自治基本条例」、「協働」という理念が登場して10年が経った。それが登場したときは、いずれも画期的であった。今や、「地方分権」を本気で押し進めるのかが、国政選挙の争点となり、「自治基本条例」も、それを作る時代からそれをどう使うか、どう規範化するかが問われている。

地方分権改革で自治体は変わったのか。答えは、イエスであり、ノーである。
司法改革、行政訴訟制度改革から5年が経った。司法は変わったか。同様に、答えはイエスであり、ノーである。

 地方分権は誰のための分権か。住民のためか、それとも自治体・行政のためか。
 地方分権改革で法律の条例による上書き権が議論されている。上書き権は誰のためのものか。住民のためか、それとも自治体・行政のためか。法律の上書きが国に代わって自治体が住民を義務づけるだけであれば、何の意味もない。
 協働もそうだ。行政と住民とが対立関係にあるのではなく、「協働」関係にあるというときに、それが住民に行政への協力義務を課するだけであれば、何の意味もない。「協働」は押しつけの論理でしかなくなる。
 はたしてそうなっていないか。これらを常に問い直していくことがこれからの10年の課題である。

投稿者:ゆかわat 08 :12 | ビジネス | コメント(0 )

2009 年7 月19 日

迷惑施設設置における周辺住民の意向との調和〜自治体法務合同研究会

18・19日と、全国の自治体職員の有志でつくる自治体合同法務研究会に出席してきた。

千葉実氏(岩手県)の「産業廃棄物処理施設設置における周辺住民の安心度の向上と設置手続」の分科会に出席した。

産業廃棄物処理施設設置手続には生活環境影響報告書の縦覧、意見書の提出手続があり、許可要件として「生活環境への適正配慮」がある。氏の報告は、それを手がかりとして、事業者と周辺住民との利害調整を施設設置前に完了させるシステムを構築しようとするものだ。これは、施設が出来てから事後的に紛争解決のための訴訟や調停を行うよりも、設置前に利害調整を完了しようとするもので、周辺住民にとっても事業者にとってもメリットがあると思われる。事後的に民事調停をして苦労した経験(事業者としては許可を得て施設を設置してしまえば、調停に応じる必要も義務もないから、まともに取り合ってくれない)からすると、行政がこのような利害調整の場を制度として用意してくれるのは大変ありがたい。行政型ADRとして真剣に実現を目指したいシステムだ。司法・裁判所にとっても、それで利害調整が完了しない事案だけを訴訟として引き受ければよいから、司法的紛争解決のコスト低減にも資するだろう。

なお、細かいところでは少し気になるところもあった。
利害調整の場として公聴会の対審化を図る氏の立場からは、「公聴会の終了要件」という概念が出てくるが、これは理解しづらい。一定の議論が出尽くして、それ以上の議論の深まりが期待できなくなったとき、要するに平行線になったときが終了の時期と考えるしかないだろう。
また、周辺住民の保護法益として、「平穏生活権」=不安がないという心理状態で平穏な生活を送ることのできる権利という概念が出てくるが、いくら身体権に近いものとして考えられるとしても、理解しにくい。「客観的に飲用に適した水であっても通常人の感覚から飲用に供するのを適当としない場合は平穏な生活を営む権利を害する」というのは、たとえそのような言い回しをしている判例があるとしても、それを言葉通りに受け止めるのはいかがなものか。嫌忌施設といっても、暴力団事務所とはやはり質的に違うと思われる。ただ、そのような感じ方をする住民がいるということを事業者に理解してもらう必要はあるだろうが。

投稿者:ゆかわat 22 :03 | ビジネス | コメント(1 )

2009 年7 月18 日

朝鮮総連本部詐欺事件有罪判決

 7月16日日経新聞夕刊に朝鮮総連本部詐欺事件有罪判決の記事が載っていた。
 事件の詳細は分からないが、朝鮮総連本部を詐欺したという事件なのに、当の朝鮮総連は騙された認識はないというから、変な事件だ。
 しかも、被告人である緒方元公安調査庁長官は「執拗で過酷な取り調べを受けた結果、虚偽の自白をさせられた。初めから起訴ありきの結論を強引に決め、真実を曲げた」と捜査手法を痛烈に批判して身の潔白を訴えたという。真偽のほどは分からないが、このような批判が出ること自体が本件捜査のあり方、検察のあり方の問題点を浮き彫りにしているように思う。

投稿者:ゆかわat 06 :40 | ビジネス | コメント(0 )

2009 年7 月11 日

障害者の正社員扱いを求める訴訟

我が恩師のブログ(清水ブログ)への返答
http://tateoblog.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-10ec.html
国(厚生労働省職業安定局)が、「障害者雇用ガイドブック」において、障害者の雇用の促進等に関する法律(雇用促進法)43条に係る「常用労働者」の意義に関して正規労働者に限定しない解釈をとっていることについて国家賠償法1条に基づく国家賠償請求をすることができるか。

雇用促進法の具体的な中身(特に雇用促進のためにとっている施策・措置の具体性)をさらに検討してみる必要がありますが、ざっと以下のように考えることはできると思う。

国賠法の「違法」とは、判例上、当該国民に対する関係での公務員の職務上の注意義務違反と解されている。

雇用促進法は、「身体障害者又は知的障害者の雇用義務等に基づく雇用の促進等のための措置、職業リハビリテーションの措置その他障害者がその能力に適合する職業に就くこと等を通じてその職業生活において自立することを促進するための措置を総合的に講じ、もつて障害者の職業の安定を図ることを目的とする」(1条)ものですから、障害者の雇用を確保することによって障害者の人権を保障しようとするものと解される。

雇用促進法43条1項は「事業主(常時雇用する労働者(一週間の所定労働時間が、当該事業主の事業所に雇用する通常の労働者の一週間の所定労働時間に比し短く、かつ、厚生労働大臣の定める時間数未満である常時雇用する労働者(以下「短時間労働者」という。)を除く。以下単に「労働者」という。)を雇用する事業主をいい、国及び地方公共団体を除く。以下同じ。)は、厚生労働省令で定める雇用関係の変動がある場合には、その雇用する身体障害者又は知的障害者である労働者の数が、その雇用する労働者の数に障害者雇用率を乗じて得た数(その数に一人未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。第四十六条第一項において「法定雇用障害者数」という。)以上であるようにしなければならない。 」と定め、事業主に障害者の雇用義務を定めることによって障害者の雇用を確保しようとしている。

そして、「国及び地方公共団体は、障害者の雇用について事業主その他国民一般の理解を高めるとともに、事業主、障害者その他の関係者に対する援助の措置及び障害者の特性に配慮した職業リハビリテーションの措置を講ずる等障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るために必要な施策を、障害者の福祉に関する施策との有機的な連携を図りつつ総合的かつ効果的に推進するように努めなければならない」(6条)ものとされていますから、国はまさに法43条1項の適切な解釈運用を通して障害者の雇用促進を図るべき義務がある。

ところが、せっかく法が事業主の障害者の雇用義務を定めて障害者の雇用を確保しようとしているのに、法の所管省である厚生労働省(前厚生省)がその解釈を事業主に甘く、障害者に不利に行い(ところで、このように言えるためには、厚生労働省の解釈が明らかに誤りであるか、明らかに立法者意思に反しているか、それとも別の解釈が十分に成り立つにもかかわらず、合理的な理由もなくその解釈をとらなかった場合であることが必要であると思われます。ここは私は労働法や障害者法の専門家ではありませんので分かりません。)、そのような法解釈を障害者雇用ガイドブックに記載して事業主に広く頒布することは、雇用差別される障害者との関係で雇用促進法に基づく国の義務に反するものであって、国賠法1条の違法な行為と評される。


追記をみる

投稿者:ゆかわat 23 :35 | ビジネス | コメント(0 )

2009 年7 月9 日

カブトムシ

 オス4匹とメス1匹の組み合わせはなかなか大変なようだ。オス同士が喧嘩するので2箱に分けたが、どうしてもオス同士は喧嘩する。角の突っつき合いでそれは激しい。えさの取り合い然り、メスの取り合い然り。同じ親の子供だから交尾はしないのかと思っていたが、どうやらそうではないようだ。
 今夜は、大きいオスの1匹はエサに夢中で、もう1匹は蓋にぶら下がっているのを後目に、小さいオスがメスと交尾をしようと懸命にメスの背中に乗っかるが、どうしてもメスの方が大きいためにオスは振り落とされる。メスを追いかけているうちに、エサを食べているオスのところにやってくると、食事中のオスが怒って小さいオスを追い払う。メスは食事中のオスのところに何度も行くが、彼は食事中でメスには目もくれない。何やら3角(さんかく)関係ならぬ、3角(さんつの)関係だ。いずこも大変なようだ。

投稿者:ゆかわat 01 :17 | 日記 | コメント(0 )

司法試験 公法総合?

 ロースクールの公法系の教授4人で、本年の司法試験の公法の論文試験について研究会をした。
 公法の論文試験2問のうち、1問は憲法分野、2問は行政法分野となって別れており、その傾向も、憲法は大学における遺伝子研究治療をめぐる極めて高度で専門的な学問の自由と遺伝子に関するプライバシーと大学の自治の関係を問う問題であるのに対して、行政法は建築基準法とその委任条例と自主条例の条文をどう引っ張ってきてそれをどう解釈してその関係をどう解するかという極めて世俗的技術的な問題であった。
 それを受けてか受けずか、行政法分野からは第1問に対して、学問の自由を規制する法的根拠が薄弱ではないか、部分社会の法理等訴訟要件の問題があるのではないかという極めて実務的な問題意識をぶつけることになった。
 確かに学生と話をしていると、公法は好きで憲法も好きだが、行政法はとっつきにくいという声をよく耳にする。
 平成16年行訴法改正により、「公法」が復活することとなったが、忘れ去られた「公法」のかたちを作り上げるのは、なかなか難しい作業のようだ。憲法と行政法を接ぎ木するのではなく、一つの事例を憲法と行政法の両方の視点から複合的に見ていく「公法総合」こそが重要である。

投稿者:ゆかわat 01 :08 | ビジネス | コメント(0 )

2009 年7 月7 日

月夜の宴会

 昨夜は、11時頃になると、南の空に満月がきれいにかかり、煌々と夜空を照らした。我が家のカブトムシたちも、月夜に興奮して、バタバタと羽音をふるわして賑やかだ。最後の1匹も成虫に羽化して、月夜に向かって羽ばたいていた。さっきまで横になって、羽化してまだ数日なのにもう死んじゃったのかなと思わせていたオス達も、一斉にガソゴソと動き始めた。

 もう我が家に来て4年目になるオオクワガタも、あっち行ったりこっち来たりと忙しい。いつも朽木の下で寝ているオオクワガタのメスも、この夜ばかりは、ちょこまかと動き回っている。

 その宴会も明け方には終わり、皆、土の下にもぐって眠ってしまった。虫箱の中は、食べ散らかしたゼリーの空きカップと倒れて横になってしまった朽木だけになっていた。

投稿者:ゆかわat 06 :08 | 日記 | コメント(0 )

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