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2012 年7 月29 日

受精卵診断

 7月23日日経夕刊に、長野のクリニックで、日本産婦人科学会の承認を得ずに、体外受精卵の着床前染色体診断をして7人が出産したとの記事が載っていた。

また、7月28日日経朝刊には、神戸のクリニックが日本産婦人科学会の承認を得ずに受精卵着床前診断をした問題で、学会は指針に反するもので決して容認しないとの声明を発表したとの記事が載っていた。

 学会が受精卵診断を特定の病気による場合に限定するのは命の選別につながるからだという。
 それに対して、クリニックは不必要な流産を避け、母胎の精神的肉体的負担を軽減するためだという。

 しかし、仮に親の意向で命の選別がなされたとしても、それは子供を産み育てようとする親の自己決定権ではないか。それを産婦人科学会が制限できるのか。生命倫理というのは、門外漢の私からは、何となく、あまりにパターナリスティック(父権的)な、思い上がりの、特権階級の論理にしか聞こえない。

いずれにしても、医師としての生命倫理の問題として医師の行為に一定の制限を加えるというのは、学会の倫理指針に反するとしてその医師を学会から除名する等の処分をするという効果をもたらすことまでは理解できるが、それが親の自己決定権を侵害するという効果を持つことまでは許されないというべきではないか。それらの問題が混同されているように感じる。

投稿者:ゆかわat 11 :43 | ビジネス | コメント(0 )

2012 年7 月25 日

西京区役所洛西支所法律相談

今日は弁護士会の無料相談日。今年から担当することになった洛西ニュータウンの法律相談。 区役所に着いたら、どこで法律相談をやっているのかさっぱり分からなかった。亀岡市役所の法律相談を担当したこともあったが、このときは玄関入ったところにホワイトボードに案内があり、法律相談やっていることは分かったが、こちらでは建物が広すぎるのか、複雑な構造になって部屋が分かれすぎているのか、担当者の私ですら会場にたどり着くのにも苦労した。おそらくこちらでは相談件数はほとんどないのだろうと思っていたら、あにはからんや、予想に反して、時間枠びっしり、20分刻みで7件ぶっつづきで法律相談が埋まっていた。その間、休憩時間もなく、相談結果を相談カードに記録する暇もないほどだった。相談内容も、貸し金、相続、家族、契約、生命保険に至るまで広汎なものだった。亀岡市でもそうだったが、有料相談相当の案件がほとんど無料相談の枠に流れているように感じる。

投稿者:ゆかわat 19 :08 | ビジネス | コメント(0 )

2012 年7 月24 日

建築基準法違反と売買の瑕疵・債務不履行

東京地裁平成23.6.1(判例時報2148号69頁)は、店舗として購入した建物の一部が駐車場として建築確認を受けたものであって容積率違反があるが、すでに建築から売買まで19年以上の時間が経過しており、その間3回行政指導が行われただけであるから今後建築基準法所定の是正措置命令が出される具体的可能性もなく、客観的にみて店舗として使用し得ない状況にないから、建築基準法違反を売主及び不動産媒介業者が見落としていたとしても債務不履行にはあたらないとした事例である。  建築基準法という行政法規の違反と民事上の契約の瑕疵・債務不履行との関係は難しい問題がある。  この判決は、?売買契約書には建築基準法違反の点を看過することなく売却すべき債務を定めた明文の規定はなく、建築してから売買契約を締結するまでに19年間を経過しており建築基準法違反の事実を把握できていないから建築基準法違反の点を看過することなく売却すべき義務を契約解釈又は信義則によって負っていたと解することもできず、?売買契約に瑕疵担保責任免除特約が設けられている趣旨からも困難であるとする。そればかりか、?建築されてから今日まで25年間において容積率違反を理由とする行政指導が3回行われただけで違反是正措置命令もされずに放置されてきたのだから、今後違反是正措置命令がされて店舗としての使用が不可能になるとは考えがたいから、客観的に見て売買契約の目的が達成できない状況にあるとは認められないから債務不履行はないとする。  とても分かりやすい。私も同じような事案を担当した。しかし、そう簡単な問題ではない。  ?建築基準法違反の建物をその旨告知して納得の上で売買するのであればいざ知らず、建築基準法違反であることを告知せずに売ってはならないのは民事上も当然ではないか。少なくとも、建築基準法違反であることを知らずに売ったのであればそれは契約の目的に瑕疵があるということになろうし、宅建業者(媒介業者)にも重要事項説明義務違反があるというべきだろう。  ?瑕疵担保責任免除特約も常に有効とは限らず、売買の内容や瑕疵の内容によっては制限があると言うべきであろう。  ?何よりも、確かに現時点では是正措置命令がされておらず使用に支障がないとしても、建築確認の時点(正確には建築工事完了検査時)で容積率違反がある以上それは違法である(建築時の建築基準関係規定には適合していたが、その後の法改正により現時点の建築基準関係規定には違反する既存不適格ではなく)。そして、建築基準法9条では行政代執行法2条のように違反を放置することが著しく公益に反するという要件も課せられていない以上、今まで行政指導しかされてなくても、今後とも是正措置命令がなされないという保証はない(今までなされていないのだから今後是正措置命令を発令することが行政上の信義則に反するとか、信頼原則に反するとか、比例原則に反するとか言うことはできないだろう。)。そのときに、この判決のように、そのような使用状態を使用が不可能ではないと簡単に評価できるかどうかは微妙である。

投稿者:ゆかわat 23 :32 | ビジネス | コメント(0 )

2012 年7 月18 日

ジェノサイド

高野和明「ジェノサイド」を読んだ。
去年の夏、ちょうど1年前の自治体合同法務研究会の帰りにたまたま駅の本屋で見つけた時からとても気になっていた本だった。
仕事が終わってから、毎日11時過ぎから読み始めたが、本当に寝不足になるほどのめりこんでしまう本だった。久しぶりの感動だ。

ジェノサイド=大量虐殺という表題に示されるように、PG12映画のような凄惨なシーン、人間の残虐さをこれでもかというほど突きつけてくる半面、とても一途な利他的な優しさ、亡き父の足跡を偶然にたどり結局は父親と同じ人生を歩むとともに父への尊敬を取り戻す青年、人類史や薬学やITなど様々な知識、西洋活劇のようなきわめてスリリングで早い展開、はてはバミューダトライアングルの謎解きなど、これほどまでに博学で、また繊細な描写は見たことがないというほどの本だった。何よりも、これが日本人作家の作品とは思えないほど、西洋的な感覚にひたされた小説だ。ジェノサイドで始まったのに、ジェノサイドがいたるところで繰り広げられているのに、最後読み終わる頃にはとてもあたたかい心で満たされていた。いずれ新生人類に滅ぼされることになる現生人類として安らかな最期を迎える心境になった。

最後に、文中の1フレーズ。
「人間は、自分も異人種も同じ生物種であると認識することができない。肌の色や国籍、宗教、場合によっては地域社会や家族といった狭い分類の中に身を置いて、それこそが自分であると認識する。他の集団に属している個体は、警戒しなければならない別種の存在なのだ。もちろんこれは、理性による判断ではなく生物学的な習性だ。ヒトという動物の脳が、生まれながらにして異質な存在を見分け、警戒するようになっているのさ。そして私には、これこそが人間の残虐性を物語る証左に思える」
これはまさにいつまでもなくなることのない、学校でくりかえされるいじめ自殺問題に対する解なのだろう。

投稿者:ゆかわat 22 :44 | 日記 | コメント(0 )

2012 年7 月12 日

暴力団隠してゴルフは詐欺?

 11日の日経夕刊に、暴力関係者の利用を禁じたゴルフ場で、暴力団関係者であることを画にしてゴルフプレーをしたとして、詐欺で逮捕されたとの記事が載っていた。  正規のゴルフプレー料金を支払っていたであろうのに、暴力団関係者であれば詐欺だというのも奇妙だ。  これでいけば、暴力団関係者が正規の代金で自動車を買っても詐欺で、正規の家賃でアパートを借りても二項詐欺だということになるのだろう。  暴力団関係者にはゴルフの自由も、日常生活を営む自由も認められない。

投稿者:ゆかわat 22 :28 | ビジネス | コメント(0 )

大津市中学生いじめ自殺事件

大津市中学生自殺問題で新聞やTVで連日報道がなされている。  大津市長が「市教委の調査はずさんで全く信用できない」と答えたという。  市教委はアンケート調査を実施したが、回答の中に首締めや葬式ごっこの記述があったものの、回答した生徒に確認したがあまり覚えていないと答えたので事実とは確認できなかったという。  ここで問題なのは、小学校をはじめとする学校関係者の「事実認定」の能力不足というか、事実認定の技法についての無理解だ。これは自分の子供の学校でも思うことだ。もしかすると、これはお役所全体の問題かもしれない。  公共事業の談合疑惑があるとき、役所は談合の事実は確認できなかったので、今後そういうことのないように注意したいとよくいう。入札参加業者に聞いて、うちはしてませんと言われたらそれで終わりで、誓約書をとって一件落着だ。学校でのいじめ問題にしてもそうで、いじめたのかと直接聞かれたら、してませんと言うに決まっている。いじめを見たのかと聞かれたら、見たと答えたら何で止めなかったと言って怒られるし、友達からも今後友達つきあいしてもらえないし、下手するといじめの対象にされてしまう。尋ねる方も、いじめの事実は認めたくないから、あまり覚えていないと答えがあればそれにこしたことはない。  要は、談合やいじめの事実があったことを確認することが、誰にとっても利益ではないから、いじめの事実認定をしない方向でバイアスが働いている。  関係者からの証拠の収集方法、その評価方法の確立。そして、一番肝心なのは、その事実認定をする者が公平であること。公平であるとは、事実があろうがなかろうがそれによって利益も不利益も受けない立場にあること。そういう者が事実認定をしないと事実は分からない。  ところで、昨日の新聞を見ていると、「市教委の再調査が不十分なら文科省が直接調査することもあり得る」と平野文科相が発言している。教育現場の個別問題に国が直接調査すると言うのは、その権限があるのかという問題もさることながら、一体、どんな調査方法を用いるのかという問題もある。事実認定の技法・枠組みが問題なのであって、市では不十分だから国がするというのは、前近代的な中央集権・国家至上主義の発想だ。地方分権が最も重要であるはずの教育において、国がまだこういう発想を持っていること、何よりもそれを肯定的に報道するマスコミの理解が根本的な問題である。

投稿者:ゆかわat 22 :15 | ビジネス | コメント(0 )

2012 年7 月4 日

浦河簡易裁判所

 今日は、日帰りで浦河簡易裁判所出張。80万円ほどの売掛金の請求。支払ってもらえないのでとにかく支払督促の申し立てをしたら異議が出た。督促異議が出ると通常裁判に移行する。
最初から裁判を申し立てれば原告の住所地で申し立てができたのだが、支払督促は相手方住所地が管轄になるので、異議が出た場合も相手方の住所地の裁判所で係属することになる。こちらもは決・債務名義をとることが目的で支払督促の申立てをしたわけではないので、とにかく一度相手方と裁判所で話し合いができれば、ということで、本日の出張に至った。

浦河の裁判所は襟裳岬のすぐ手前だ。昔なら確実に1泊旅行だったが、ピーチとやらができて、レンタカーを使えば日帰りできることが分かった。もっとも日帰りとは言っても、朝は6時前、夜は真夜中の帰宅となるので、日帰りというのも正確ではない。
空港から降りてしばらくは沿道は牛さんの牧場だったが、いつの間にか日高町あたりから馬の牧場ばかりになった。それも隣も全部牧場だ。日高町、新冠町、新ひだか町、浦河町と、海岸線に沿ってもずっと牧場が目についた。牧場が主要産業なのだ。こちらも珍しいが、馬にとっても珍しいらしく、携帯を持って近寄ったら、向こうからも近寄ってくれた。

浦河牧場

裁判所は、例によって、没個性の建物だ。手前にある司法書士の先生の建物の方がよほどしゃれていた。でも裁判所に着いて耳を澄ましていると、カモメの鳴き声のほかに、木々の葉のささやきと、あと、何かヒグラシのような鳴き声が聞こえた。

浦河簡易裁判所 

帰りに、浦河郵便局の向かいの藤まんというお寿司屋さんでちらし寿司をいただいて帰った。

投稿者:ゆかわat 18 :26 | ビジネス | コメント(0 )

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