ショック>惑星数−1
問題になっているのは冥王星。
発見当時は、他の惑星並の大きさがあると考えられていたから問題なかったが、その後、
・実際の大きさが1000km余と小さいことが分かってきたこと(月よりも小さい)
・軌道が他の惑星とは明らかに異なること
などから、(冥王星を)惑星として疑問視する声が出ていた。
さらに、その後の観察によって冥王星より外側に(火星−木星間にある)小惑星帯と同じような小天体群の存在が発見されたこと。
その中には冥王星を上回る大きさの天体の存在も明らかになったこと。
以上のことから、今回のIAU会議では、
「冥王星を惑星として認めるのなら冥王星よりも大きなこれら天体も惑星にすべき」
という主張(全部で惑星数12個)が出されたことから俄に論議が高まった。
この時点で、
「全惑星を自分の眼で実際に見た(眼視確認した)」という密かな自慢をもつ自分としては、
『うーむ、セレスは問題ないが..』。
が、昨日になって事態が「冥王星を惑星から外す」という方向に急変。
新たに3個新惑星を認めると、今後の観察で新惑星がぞろぞろ発見される可能性が大になるから..
ならば、冥王星が他の惑星とは(大きさも小さく軌道も異なるから)違うのだから
惑星の定義には該当しないということにするのが妥当?ということになったらしい。
う〜む、今になって冥王星が惑星から格下げ?というのは..だったらそっとしておいて欲しかったなー。
水星〜海王星までなら望遠鏡があれば比較的簡単に眼視確認できます。なぜなら、
望遠鏡で見る惑星は明らかに他の恒星とは異なり大気によるちらつきがありません。
(恒星は∞先なので明るい星でも点にしか見えず、大気の影響でちらつきます)
惑星は面積があるので気流の影響を受けにくく、その場で惑星と判別できるからです。
ところが冥王星は、∞ではないにしろ一番太陽系から離れていて小さく暗いため、
並の望遠鏡では他の恒星と区別できません。
冥王星発見者トンボーは、計算に基づき予想位置を写真に撮って存在を証明しました。
なお、私が行った冥王星の眼視確認は、
[1]その日の予想位置へ望遠鏡(口径25cm反射望遠鏡)を向け、
中高倍率で予報星図にある冥王星位置付近の星をくまなくスケッチしておく。
(冥王星と思われる星に印を付けておく)この段階では確認したことにはなりません。
[2]翌晩か、次の観察日に前回の観察位置に再度望遠鏡を向け、
前回スケッチと較べる。
(冥王星と思って印を付けた星が移動して見えない=半信半疑な確認)
[3]半信半疑状態から、これが冥王星と確信できるまで[1]と[2]を繰り返す。
以上の手順で約1ヶ月間行いました。
10数年前、冥王星が海王星の軌道よりも内側にあって地球に近かった頃の話です。
地球に近かった頃とはいえ、明るさは約14等星=暗い星(糠星)ほど数が増えます。
当時、冥王星付近の15等級まで記された予報星図を基に観察。
持っていた口径25cm反射望遠鏡の極限等級とほぼ同じ等級ですが、
(空が暗かったので)予報星図にある14等級の星は殆ど見ることができました。
残念ながら、冥王星確認に使った25cm反射望遠鏡はその後手放したのでありません。
以上のことから、冥王星というと、とても懐かしくもあり、自慢の一つでもあったので、今回のIAUの決定が気がかりです。
投稿者:Ken28at 22:13| 太陽系・月 | コメント(3) | トラックバック(1)
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記事タイトル:暑い日が続きますが・・・・
記事概要:ショック>惑星数−1
ニュース等で話題になっていますが、IAU(国際天文学連合)の総会で今まで曖昧になっていた惑星の定義が決議されるらしい。
◆この記事へのコメント:
いつもすばらしい写真を拝見しております。
冥王星の軌道は確か黄道に対して直角に近いくらいだったと思う。
何かの本で他の天体からの彗星か小惑星が衝突して軌道が曲がった、と読んだ事があります。
投稿者:photosky:URL at 2006/08/24 21:23
帰宅途中のラジオのニュースで、太陽系の惑星を8個にすることが決議された、ということを聞きました。
冥王星は今後「矮小惑星」というグループとすることが提案されているようです。
それはそれとして、冥王星の観測はなかなか難しそうですね。
十分に自慢する価値のある成果ではないでしょうか。
投稿者:ich:URL at 2006/08/25 00:30
photoskyさん、初めまして。コメントならびにTB有難うございました。
確かに冥王星は惑星の中では特異な存在でした。
太陽系には冥王星の奥に冥王星と同様なカイパーベルト天体群の存在が分かって惑星論議の一因となったようです。
そうであるにせよ、特例として冥王星を残しておいて欲しかったです。
ichさん、いよいよ決定ですか。本当に残念で可哀想>冥王星
冥王星を眼視確認した当時、もちろん冷却CCDや一眼デジは無く、使った望遠鏡は赤道儀でしたが、写真を撮れるだけの追尾精度はありませんでした。
今だったら、自動導入で冥王星位置へすぐに筒先が向くし、天体表示ソフトを使えば暗い星の現在位置を表示できるし、それほど苦労は要らないでしょうね。
今回の改正で、海王星までなら眼視観察でも中口径望遠鏡と導入装置があればその場で確認でき、全惑星を自分の目で視るのが容易になりましたね。
投稿者:Ken28:URL at 2006/08/25 21:29